御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


「ごめん。覚えてなくて・・・、私なにかしちゃったかな?」

「・・・・・・。いや、なにも」

「そ、そっか。よかった。・・・・・・じゃあ私、お礼伝えたかっただけだから、行くね。ほんとにありがとう」


そう言ってベンチを立ち上がると、


パシッと手首を掴まれた。


「行かないで」


っ!


弾けるように振り向くと氷上くんとバチっと目が合う。


「・・・・・・フッ。やっぱり、覚えてるんだ?」


口角を上げて意地悪な笑みを浮かべる氷上くん。


それを見てカアッと顔が熱くなる。


「なっ・・・何をっ?」

「まだとぼける?いいよ。付き合うよ、いくらでも」

「っ・・・・・・あれはっ、熱があったから・・・!どうかしてたの。・・・・・・ごめん」


最早動揺を隠しきれず、これ以上とぼけるのは無理だと思い白状した。


「・・・・・・そ」


そ。とな?


え・・・・・・それだけ?

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