御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
いやでも、これ以上深掘りされても困るし、良いんだけどさ。
なんでそんな急に面白くなさそうな顔してるの?
というか、
「手・・・離してもらっていいですか、氷上くん」
私の手首はまだ氷上くんに掴まれたままだ。
「・・・・・・・・・嫌だ」
「え?」
「・・・・・・ねぇ、いいんちょー。いま暇でしょ?ダンスの練習付き合ってよ」
はて。
ダンスの練習、とな?
「えっと・・・・・・それは舞踏会の?」
「うん」
「うんって・・・。氷上くんは練習しなくても踊れるでしょ?」
「いや、最近踊ってないからなまってると思う」
「でもそれは・・・・・・、その相手は、私じゃなくて、藤堂さんじゃない?」
何を言ってるんだ、氷上くん。