御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


そもそも私なんかに氷上くんの練習相手が務まるわけないし。藤堂さんっていう立派なパートナーがいるじゃないか。


「・・・・・・。でもいいんちょー、今、暇でしょ?」

「いや、暇ではあるけど・・・・・・」

「じゃあ、いいじゃん」


そう言って立ち上がった氷上くんに、腰に手を回されグッと引き寄せられる。


っ!


ち、近い!


こんなところ誰かに見られたらっ・・・まずいよ!


「ちょ、氷上くん!離してっ。誰かに見られたらどうするのっ」


藤堂さんっていう婚約者がいるのにっ。


そう頭では理解して口と身体は抵抗するのに、心だけは無抵抗にドキドキと高鳴っている。


「大丈夫。ここは滅多に人来ないから。ちょっとだけ付き合ってよ」

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