御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
「ごちそうさま!」
「いちか、なんか甘いの飲みたくない?」
「ミルクティーとか?」
「いいね。加瀬、買って来て」
「ったく、しょうがねーな。ふたりともミルクティーでいいのな?」
「うん」
「ありがとう、加瀬くん」
いつもありがとね、加瀬くん。
彼は本当に優しいなぁと思う。同じ学級委員でもいつも助けてもらってばかりだ。
「あ、見ていちか。あの二人は今日も別世界だね〜」
のんちゃんの目線の先は、中庭の側のテーブル。
そこには見慣れた男女の姿があった。