御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
琳凰side.
「でさ!オレついに見ちゃったわけよ!ヤバいんだよ、眼鏡外したら!マ〜ジで可愛いの!いや、眼鏡してても可愛いけどさ。あれは世界一の可愛さだわ」
俺のベッドに勝手に寝転がっている結城が森下についてずっと熱弁している。
俺はそれを聞き流しながら、ソファに仰向けになって目を閉じていた。
世界一可愛いって・・・・・・いいんちょーの方がどう見ても可愛いでしょ。
「って、聞いてないだろ、琳凰」
「んーー」
「はぁ。まぁいいけどさ。初めてだな、琳凰がそんな風になるの」
今の俺は一言で言えば、無気力。
頭の中は昼休みの薔薇園での出来事がずっとリピートされている。
「ま。オレ的には、ついにこの時が来たかって感じだけどな」
そう言ってベッドから起き上がり、俺の向かい側のソファに座る結城。
「・・・・・・どうすればいい」
ボソッと自分の口から漏れた。
「琳凰がやりたいようにやってみればいいんじゃね?」
「・・・・・・他人事だと思って」
「だって他人事だし〜、何をそんなにウジウジしてんのかオレにはわからないし〜っ」
「お前・・・」
両手を挙げてソファの背もたれにのびている結城をジロッと睨んだ。
結城も俺と似た境遇なんだから少しはわかるだろ。