御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?
琳凰side.
「琳凰くん、あれじゃダメだよ。高沢さん困らせてるだけ」
「・・・・・・わかってる」
「もう・・・。琳凰くんって、こんなに恋愛下手だったのね。婚約破棄して正解だったわ」
「ちょ、桃香・・・」
「ふふ、冗談だよ。私はちゃんと失恋して前向いてるんだから、琳凰くんには初恋実らせて欲しいの。だから応援してるんだよ?」
「うん・・・・・・ありがとう、桃香」
本気でそう思ってくれているのがわかる。
婚約破棄して欲しいと全てを桃香に伝えに行ったあの日。
『なんとなく、覚悟はしてたよ。私も結婚する人はちゃんと私を見てくれる人がいいの。だから琳凰くんのことは諦める。・・・でも、ちゃんと大好きだったよ』
俺のわがままを怒りもせず受け入れて気持ちを伝えてくれた桃香。
本当に頭が上がらない。
桃香の父親、史彦さんに話しをつけたあと『琳凰くん、歯を食いしばりなさい。優しい桃香の代わりだ。これでなかったことにしてやろう』そう言われて、一発平手打ちをくらった。
相当痛かったけど、当然の報いだと思う。
桃香には俺よりも良い人を見つけて幸せになって欲しい。