初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「はい。具合が悪いのですか?」
オネルヴァは彼の茶色の瞳を覗き込んだ。吸い込まれそうなほど深いその瞳は、じっとオネルヴァを見つめている。
「あっ……」
いつの間にか彼の腕の中にいた。少しだけバランスを崩し、膝を突いた。だが、彼から力強く抱きしめられているせいか、なんとか転ばずに済んだ。
顔を上げると、目の前にはイグナーツの顔がある。
「す、すまない……。嫌なら、拒んでくれ……」
そう声を絞り出すことすら、彼にとっては辛そうに見えた。
「嫌ではありませんが、どうされたのですか?」
この結婚は形だけの結婚であったはず。なによりもオネルヴァはイグナーツの妻ではなく、エルシーの母親役としてここにいるのだ。
なのになぜ、このように抱きしめられるといって行為をされたのだろうか。
「旦那様?」
イグナーツの身体ですっぽりと覆われてしまったオネルヴァの心臓は、バクバクと高鳴っている。
そもそもオネルヴァは人と触れ合ったことがない。やっとエルシーが与えてくれる温もりに慣れたところで、夫とはいえこのような大人の男性に抱き締められると、身体は強張ってしまう。
オネルヴァは彼の茶色の瞳を覗き込んだ。吸い込まれそうなほど深いその瞳は、じっとオネルヴァを見つめている。
「あっ……」
いつの間にか彼の腕の中にいた。少しだけバランスを崩し、膝を突いた。だが、彼から力強く抱きしめられているせいか、なんとか転ばずに済んだ。
顔を上げると、目の前にはイグナーツの顔がある。
「す、すまない……。嫌なら、拒んでくれ……」
そう声を絞り出すことすら、彼にとっては辛そうに見えた。
「嫌ではありませんが、どうされたのですか?」
この結婚は形だけの結婚であったはず。なによりもオネルヴァはイグナーツの妻ではなく、エルシーの母親役としてここにいるのだ。
なのになぜ、このように抱きしめられるといって行為をされたのだろうか。
「旦那様?」
イグナーツの身体ですっぽりと覆われてしまったオネルヴァの心臓は、バクバクと高鳴っている。
そもそもオネルヴァは人と触れ合ったことがない。やっとエルシーが与えてくれる温もりに慣れたところで、夫とはいえこのような大人の男性に抱き締められると、身体は強張ってしまう。