初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
彼の体温を感じながら、オネルヴァはどうしたらイグナーツを侵している魔力を無効化できるかを考えた。
だが、先ほどはこうやって触れ合っただけ。となれば、今も同じようにするしかないだろう。
しっとりと汗ばんでいるイグナーツからは、雄々しい匂いが漂っている。どれだけの間、苦しんでいたのだろうか。こうなる前に、求めてくれればよかったのに。
「旦那様、お願いですから。死ぬとかそういう不安になるようなことを言わないでください。わたくしを、一人にしないでください……」
頭をすりすりと彼の身体にすりつけて、必死で訴える。
「オネルヴァ……」
彼の声にはっと顔をあげる。
「旦那様。大丈夫なのですか?」
先ほどまでの生気を失ったような視線はどこかに消え去っている。
「あ、ああ……なんとか、助かった……」
「よかった……よかったです」
オネルヴァは力強く抱きしめながら、はらはらと涙を流す。
「オネルヴァ……君には悪いとは思っている……」
何に対する謝罪なのかわからないが、オネルヴァは首を横に振った。
「何も、悪いことなんてされておりません。わたくしは、旦那様の家族です。家族が困っていたら、助けたいと思いませんか?」
そう言ったオネルヴァだが、胸はギリギリと挟み込まれるかのように痛んだ。
だが、先ほどはこうやって触れ合っただけ。となれば、今も同じようにするしかないだろう。
しっとりと汗ばんでいるイグナーツからは、雄々しい匂いが漂っている。どれだけの間、苦しんでいたのだろうか。こうなる前に、求めてくれればよかったのに。
「旦那様、お願いですから。死ぬとかそういう不安になるようなことを言わないでください。わたくしを、一人にしないでください……」
頭をすりすりと彼の身体にすりつけて、必死で訴える。
「オネルヴァ……」
彼の声にはっと顔をあげる。
「旦那様。大丈夫なのですか?」
先ほどまでの生気を失ったような視線はどこかに消え去っている。
「あ、ああ……なんとか、助かった……」
「よかった……よかったです」
オネルヴァは力強く抱きしめながら、はらはらと涙を流す。
「オネルヴァ……君には悪いとは思っている……」
何に対する謝罪なのかわからないが、オネルヴァは首を横に振った。
「何も、悪いことなんてされておりません。わたくしは、旦那様の家族です。家族が困っていたら、助けたいと思いませんか?」
そう言ったオネルヴァだが、胸はギリギリと挟み込まれるかのように痛んだ。