初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
すべてを整えて、隣の部屋へ行こうと扉を開けた瞬間、すぐさま這うようにして一筋の光が伸びていく。その光が辿り着いた先には寝台がある。
物音を立てぬように静かに扉を閉めれば、闇に包まれる。目が慣れるまでその場に立ち尽くし、周囲がほのかに認識できるようになったところで、そろりそろりと寝台へと向かう。
規則正しい寝息が聞こえる。
掛布は胸元までにしかかかっておらず、胸が静かに上下している。日に日に暖かさが増す季節であっても、夜はぐんと気温が下がる。
掛布に手を伸ばしたイグナーツは、それを彼女の肩が隠れるくらいの位置にかけ直した。
「んっ……」
規則性が途切れた。慌てて彼女から手を引く。起こしてしまっただろうか。
彼女に触れたいと思いながらも、触れるのが怖い。この情欲に気づかれるのが恐ろしい。
すぅすぅと、再び規則的な寝息が聞こえてきた。
共に寝たいと口にしたイグナーツであるが、それは彼女が戸惑う様子をみたいという意地悪な気持ちも働いた。
それも彼女はなんの疑いもなくその言葉を受け入れた。
彼女がイグナーツを想う気持ちと、イグナーツが彼女を想う気持ちは異なるものだろう。
オネルヴァはイグナーツを「家族」と呼ぶ。すなわち、見返りを求めない無償の愛というものだろう。だが、イグナーツはオネルヴァに触れたい。彼女を感じて、交わりたいと思っている。そういった邪な感情があるのだ。
寝台に腰をおろし、彼女の顔を見下ろす。あどけない寝顔は、実年齢よりも幼く見える。子どもほど年の離れている彼女に、この気持ちを知られたくない。
物音を立てぬように静かに扉を閉めれば、闇に包まれる。目が慣れるまでその場に立ち尽くし、周囲がほのかに認識できるようになったところで、そろりそろりと寝台へと向かう。
規則正しい寝息が聞こえる。
掛布は胸元までにしかかかっておらず、胸が静かに上下している。日に日に暖かさが増す季節であっても、夜はぐんと気温が下がる。
掛布に手を伸ばしたイグナーツは、それを彼女の肩が隠れるくらいの位置にかけ直した。
「んっ……」
規則性が途切れた。慌てて彼女から手を引く。起こしてしまっただろうか。
彼女に触れたいと思いながらも、触れるのが怖い。この情欲に気づかれるのが恐ろしい。
すぅすぅと、再び規則的な寝息が聞こえてきた。
共に寝たいと口にしたイグナーツであるが、それは彼女が戸惑う様子をみたいという意地悪な気持ちも働いた。
それも彼女はなんの疑いもなくその言葉を受け入れた。
彼女がイグナーツを想う気持ちと、イグナーツが彼女を想う気持ちは異なるものだろう。
オネルヴァはイグナーツを「家族」と呼ぶ。すなわち、見返りを求めない無償の愛というものだろう。だが、イグナーツはオネルヴァに触れたい。彼女を感じて、交わりたいと思っている。そういった邪な感情があるのだ。
寝台に腰をおろし、彼女の顔を見下ろす。あどけない寝顔は、実年齢よりも幼く見える。子どもほど年の離れている彼女に、この気持ちを知られたくない。