初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
地方に行けば行くほど戦後の影響もあり、不安定な情勢な場所もあるという。そのためイグナーツは、最初はエルシーと共に領地へと戻っていたが、次第に彼女をこの別邸においていくようになったとのこと。
王都のほうが軍の目も届き、安全というのが理由である。
それでもパトリックが言うには、イグナーツが治めている北の国境にある領地は、他の三つの国境と比べて治安はよいらしい。だが、王都ほどではない。
その加減がわからないオネルヴァは、ここにいるときと同じようにしていれば問題ないだろうと、安直に考えていた。
荷造りをするのも新鮮だったオネルヴァは、エルシーと共にその作業を楽しんでいる。
その日も、イグナーツは夕食に間に合うように帰宅した。その時間が家族団らんの時間でもある。
「オネルヴァ。エルシーのことを頼む」
「はい」
「お父さま。お母さまのことは、エルシーがしっかりと見ています。だから、お父さまは安心してお仕事してください」
エルシーが真顔で言うと、イグナーツとオネルヴァは顔を見合わせる。
「そうですね。エルシーがいるから安心ですね。初めて行くところでしたので、少しだけ不安でした」
「大丈夫です。お父がまがいなくても、エルシーがいます」
些細な言葉であるのに、オネルヴァの心を満たしていく。
「わかった。俺がいない間、オネルヴァのことを頼んだよ、エルシー」
イグナーツの言葉に、エルシーは自信満々の笑みを顔中に浮かべた。
王都のほうが軍の目も届き、安全というのが理由である。
それでもパトリックが言うには、イグナーツが治めている北の国境にある領地は、他の三つの国境と比べて治安はよいらしい。だが、王都ほどではない。
その加減がわからないオネルヴァは、ここにいるときと同じようにしていれば問題ないだろうと、安直に考えていた。
荷造りをするのも新鮮だったオネルヴァは、エルシーと共にその作業を楽しんでいる。
その日も、イグナーツは夕食に間に合うように帰宅した。その時間が家族団らんの時間でもある。
「オネルヴァ。エルシーのことを頼む」
「はい」
「お父さま。お母さまのことは、エルシーがしっかりと見ています。だから、お父さまは安心してお仕事してください」
エルシーが真顔で言うと、イグナーツとオネルヴァは顔を見合わせる。
「そうですね。エルシーがいるから安心ですね。初めて行くところでしたので、少しだけ不安でした」
「大丈夫です。お父がまがいなくても、エルシーがいます」
些細な言葉であるのに、オネルヴァの心を満たしていく。
「わかった。俺がいない間、オネルヴァのことを頼んだよ、エルシー」
イグナーツの言葉に、エルシーは自信満々の笑みを顔中に浮かべた。