初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「お父さまもお母さまもあったかいです」
「エルシーもあったかいですよ。ですが、おしゃべりはやめて、眠りましょうね」
「はいっ」
エルシーの返事も、どことなく気が昂っているようにも聞こえた。
「おやすみなさい、お父さま、お母さま」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
その挨拶が合図となり、三人は口をつぐんだ。
オネルヴァは目を閉じなかった。薄闇の中に見える天蓋をぼんやりと見つめている。
エルシーによって力強く握られていた手からは次第に力が抜けていき、そのうち、すぅすぅと小さな寝息が聞こえてきた。
オネルヴァは顔だけ横に向ける。ぷくっとしたほっぺのエルシーが、目を瞑っている。
「エルシー」
オネルヴァは小声で呼んでみた。
「眠ったようだな」
返ってきたのはイグナーツの声である。
もう一度オネルヴァは天蓋を見つめた。不思議な気分だ。
「エルシーもあったかいですよ。ですが、おしゃべりはやめて、眠りましょうね」
「はいっ」
エルシーの返事も、どことなく気が昂っているようにも聞こえた。
「おやすみなさい、お父さま、お母さま」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
その挨拶が合図となり、三人は口をつぐんだ。
オネルヴァは目を閉じなかった。薄闇の中に見える天蓋をぼんやりと見つめている。
エルシーによって力強く握られていた手からは次第に力が抜けていき、そのうち、すぅすぅと小さな寝息が聞こえてきた。
オネルヴァは顔だけ横に向ける。ぷくっとしたほっぺのエルシーが、目を瞑っている。
「エルシー」
オネルヴァは小声で呼んでみた。
「眠ったようだな」
返ってきたのはイグナーツの声である。
もう一度オネルヴァは天蓋を見つめた。不思議な気分だ。