きみと夜を越える
心だけは強気でいられたと思っていたけど、


ひとりになると涙が溢れて止まらなくなった。


人気のない道を家に向かって歩きながら、


今日1日のことを考える。


たったの1日が、あの放課後が


私を、周りを変えてしまった。


引き受けるんじゃなかったかな。


そんなことを考えて、また頭を抱えた。


だけどやっぱり、


平川くんが悪くもないのに罰を受けるよりは


まだ耐えられる。


どうしてかはわからないけど


なんとなく。


「集まりって山﨑さんが放棄してるやつでしょ?」


背後から聞こえた声に振り返ると、


そこには小春の姿があった。


そして、それこそが小春との出会いだった。 


「え?」


私の味方なんて誰もいないと思っていたから


自分でも拍子抜けた声が出た気がした。


「ほっときな」


それには、「ほっとけないよ」と言いかけて


首を縦に振った。


「この後空いてる?」


「うん」


それからは最近できたカフェに行って


パフェを食べた。


その日も、その次の日も、


私は小春と時間を潰した。


相変わらずいじめはあったし


エスカレートしていく毎日だったけど


それでもまだ生きていられた。


それは紛れもなく


小春が傍に居続けてくれたからだと思う。


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