きみと夜を越える

同窓会、ね。




そんなことを考えている間に講義は始まり、


そして終わって行く。


90分の講義は決して退屈だとは言えないけれど、


2年目にもなれば退屈さなんて忘れられるくらいの


暇潰しの術を身につけていた。


目的もなく絵を描いたり、瞑想したり。


私が得意なのは圧倒的後者で、


そのまま意識を飛ばすなんてこともザラだった。


「今日はこれで終わり?」


「うん、奏音はまだあるんだっけ?」


「そうなの。じゃあね!」


「うん!応援してる!」


奏音は風のような人だった。


きっと私の言葉が届く前に、


あっという間に私の視界から消えた。


次も講義なんだから、


その理由もわかるけど。

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