きみと夜を越える
蘇る記憶
__遡ること7年。



私のクラスはいじめが絶えなかった。


そして、いじめの対象は


次へ次へと移り変わっていった。


いじめがいとか、扱いやすさとか。


いじめる側にも基準があったのだろうけど、


対象は次第にクラスの一軍以外を


一周するようになった。


「生意気なんだよ」


例に漏れず、私の番はすぐにやってきた。


周囲を女子5人に囲まれて


身長の低かった私は視界を遮られた。


何が生意気なのか


私にはわからなかったけど


今思えば真面目すぎたかな、なんて思う。


「まじキモい」

「ほんと無理だわ」


だから何が?って感じだったけど


当時の私は真に受けてしまった。


だって、彼女たちに心無い言葉を


かけられるようになって以来


クラス中が私をいない者として

扱うようになったから。


「寺嶋さんは昼休みに職員室へ来てください」


朝のHRの後、


担任が言い残して職員室に向かった。


急いでいたのか、


少し口調が強いように感じだ。


「どうせカンニングでもしたんだろ」


昨日テストだったからか、


先生の口調のせいか、


いじめの首謀者が絞り出すように言った。


カンニングなんてするわけがないのに。


「絶対そうだわ!アイツちょっと頭いいからってうぜぇんだよな」


結局、私はしてもいないカンニングをしたことになったまま


放課後を迎えた。


「そうそう、美化委員を変わってもらえないかを聞きたくて」


美化委員、って確か。


「山﨑の代わりを探してるんだ」


山﨑さんっていじめっ子だったような。


いじめられる原因を作りたくなかった私は


慌てて「忙しいので」と言ったけれど、


明日の集まりだけは、と懇願された。


結局私は断りきれずに引き受けることになった。


そういう性格だったから。


今思えば、


それが全ての始まりだったのかもしれない。



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