攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
 だから、俺は頑張るのだとグレンジャーは思っていて。
 自分自身気付いてはいなかった。
 手放せないのは、本当はそんなものではないのだ、と。

 手放したくないのは、自分を見守ってくれているカーネルの眼差しなのだ、ということを。


 ◇◇◇


 とうとう一番端、つまり真正面に置かれたシガレットケースを、10発連続で撃ち倒すことに成功した。
 次は、それを起こす練習だな、と思い込んでいたグレンジャーに。
 カーネルは分厚い辞典を見せた。


 テーブルに自立出来る、充分な厚みのある大きな辞典だ。
 今度はそれを撃ち倒せ、と言う。
 シガレットケースに比べて、大きさも重量も何倍になるのだろうか……

 
 今度は手前2脚目の距離からだ。
 こんなに大きくて重くて……当たっているはずなのに簡単には倒せない。
 どうしたらいいんだ?
 1発ずつじゃなく、連射すればいいのか?


「肝心なのは、何を倒すのか、じゃない。
 どう倒すのか、だ」

「それは、どういうことですか?」

「だから、その話し方止めろ、って」


 子供が丁寧に話して、注意をしてくる大人は養父が初めてだった。
 何度となく注意されたけれど、なかなかくだけて話せない。
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