攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
「……どういう意味、なの?」
「お前はさ、辞典を倒すことに気を取られてる。
この前までしていたシガレットケースを倒したやり方を忘れている。
どうやって倒してきたかを思い出せ。
やり方は同じなんだ。
目の前の物の大きさに囚われるな」
シガレットケースを倒したやり方……
ここへ来た翌日。
朝昼兼用の旨い食事をして、食器を片付けて。
一番最初に養父から教えられた、物を撃つ魔法。
思いっきり指先に空気を引き付けて、弾く。
辞典が少し動いた。
「良くやったな、グレン。
お前にはやっぱり才能がある。
それを連射してみろ」
どうにか、これで孤児院に返されることはない、と安心出来るようになったのは、辞典がレンガに替わった頃だ。
「お前はもっと、父親を尊敬しろ」
そう言われるくらい、養父に対して。
遠慮なく、話せるようになったのも、同じ頃だった。
やがて、5年の歳月が過ぎた。
グレンジャーは13歳になり、王立貴族学苑中等部へ入学した。
そして、グレンジャーは『彼』に出会った。
前世の柚希が大好きだった『乙花』のヒーロー……
推しの、オスカー・オブライエン・コルテスに。
「お前はさ、辞典を倒すことに気を取られてる。
この前までしていたシガレットケースを倒したやり方を忘れている。
どうやって倒してきたかを思い出せ。
やり方は同じなんだ。
目の前の物の大きさに囚われるな」
シガレットケースを倒したやり方……
ここへ来た翌日。
朝昼兼用の旨い食事をして、食器を片付けて。
一番最初に養父から教えられた、物を撃つ魔法。
思いっきり指先に空気を引き付けて、弾く。
辞典が少し動いた。
「良くやったな、グレン。
お前にはやっぱり才能がある。
それを連射してみろ」
どうにか、これで孤児院に返されることはない、と安心出来るようになったのは、辞典がレンガに替わった頃だ。
「お前はもっと、父親を尊敬しろ」
そう言われるくらい、養父に対して。
遠慮なく、話せるようになったのも、同じ頃だった。
やがて、5年の歳月が過ぎた。
グレンジャーは13歳になり、王立貴族学苑中等部へ入学した。
そして、グレンジャーは『彼』に出会った。
前世の柚希が大好きだった『乙花』のヒーロー……
推しの、オスカー・オブライエン・コルテスに。