攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
 さすがに心配になったのか、オスカーが尋ねてきた。
 え、こいつ、ここまで来て、びびったか?


「今は狂ってないけど、また同じ様に理不尽な暴力を振るおうとしたら。
 ……最悪、狂うかもな?
 こいつがお気に入りの、俺の赤い目がどこまでも追いかけるようにした」

「それ、最高だ」


 失神したビルはそのままで、女の方は服を整えて、博物館の壁にもたれさせて。
 オスカーは博物館の職員を探しに行き、偶然通りかかった善意の学生のような顔をして、気を失っているふたりを引き渡した。


 全然知らない男に襲われた記憶も、加えてある。
 気が付いたふたりは、お互いを知らない他人だ。
 別々に繁華街へ帰るだろう。

 
 
 グレンジャーが、聖人君子じゃないオスカーと親友になったのは、その日からだ。


  ◇◇◇


 月日は流れて。
 グレンジャーは高等部へ進学した。


 もう魔法科は校舎も別棟になってしまったが、未だに彼の親友は普通科のクールなオスカー・オブライエンだった。
 友人は多かったが自宅に招いて泊めたりするのは、オスカーだけだった。

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