攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
 中途半端に掛けられた保護魔法については、養父本人が一番驚いていた。


「外からも、内からも、完璧な保護を掛けたはずだぞ?
 お前の視間違いじゃないのか?」

「俺がどれだけ視えるか、知ってるだろ?
 間違いなんかじゃない」


  ◇◇◇


 その夜グレンジャーは夢を見た。

 どこまでも続く白い、白い部屋。
 天井も壁も床もない、白い部屋。

 そこにひとりで立っていた。



「一番最初が君だったから、最後に記憶を戻してあげようと思ってて、ね?」


 いきなり目の前に、白い髪と金色の瞳の美少年が現れた。
 全身黒い衣装をまとって。
 白い髪が映えていた。
 彼の服以外が、白い部屋。



「この世界に転生したい、と君が決めただろ?
 後の人達も同じ世界に転生させると言ったら、君はすごく困っていた。
 余計な責任を感じて欲しくなくて、君の前世の記憶を戻すのは最後にしたんだ」


 記憶を戻すのは最後にした、それを繰り返された。


「君達の人種……ニホンジンと言うのかな。
 一部を除いて、責任感の強すぎる人が多いね?
 運転手は、辛かったんだろうね。
 自分の不注意で死んでしまった皆と同じ場所に転生したくない、と泣いて。
 あまりにも不憫で、違う世界に飛ばしてあげたよ」

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