攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
「そうなると、選ばれなかったカールはどう動くのか……心配でね?
自分の役割を知らず、オスカーに自分を売り込むことも出来なかった。
君達の友情を妬むか、ただ遠くで傍観しているだけか?
王太子側に取り込まれないか?
ヒーローの相棒からモブになってしまったカールが心配で、時々彼の意識に入り込んだ」
「じゃあ、いつも貴方と言うわけではなく?」
「そこまでは僕も暇じゃないからね。
ポイント、ポイントで……彼が闇に堕ちそうになったら、彼を乗っ取った」
「今日、声をかけてきたカールは貴方ですか?」
頷いた神様は、柚希の瞳をじっと見つめてきた。
「今、僕は君以外の皆の前世の記憶を消しつつあるところなんだ。
彼等が『乙花』のストーリーをあくまでなぞりたいなら、架空のこの世界にどっぷり浸かってしまえばいい、と思ってね。
この物語を続けると決めたら、邪魔な記憶は消した方が良いだろう?
同化するのに、前世の記憶は不要だよね?」
「それは質問ではないですよね?」
神様がこちらの希望を聞いて、物事を決めるとは思わない。
前世の記憶は不要だと決めたから、転生者の記憶を消している、と通告しただけだ。
少年の姿をした神様は、肩をすくめた。