攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
神様はやはり、傲慢だ。
気分次第で……
「僕はね、長い長い僕の退屈な時間を、楽しませてくれたトクラさんを少し特別扱いしているんだ。
『乙花』は彼女が望んだ世界だし、元の筋書きから外れても、ここから彼女が望む展開になればいいな、と思った。
と、同時に数ある選択肢の中から『乙花』を選んでくれたオーハシさんのこともね、少し贔屓にしている」
畏れ多くも、圧倒的に上の神様に傲慢だと思ってしまったのに?
気を付けろ、贔屓なんて言われても信じるな。
柚希の思考を読んだ少年が楽しそうにしている。
「大概の人は、自分を生き直したいと望むんだ。
これまでの人生をやり直したい、出来れば最初から、と後悔が多くてね。
創造物の世界に転生したいなんて、望んだ人間は君が初めてだったんだ。
僕が君が決めた転生先に全員を送る、と言ったから。
君は自分が決定する責任感で顔色も悪かったけれど、全員が共通して好きだった世界を選択してくれたんだ、と分かったよ。
あの頃、僕は疲れていたから助かった……
オーハシさんも働いていたから、仕事を楽にしてくれた君を贔屓したくなる気持ちも分かるだろ?
こんな風に記憶を戻して、僕が説明しているのは、君だけだ。
……現に、この服装を見て、オーハシさんはどう思う?」