攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
「殿下はこの場で、お待ちください。
私と息子で行って参ります」
「この腕を切り落としてから、ですか?
私はこのリボンは、絶対誰にも渡しません!」
そう言うオスカーの瞳を見てカーネル・オルコットは彼も一緒に飛ぶことにした。
一度決めたら絶対に譲らない、そんな性格の亡き妹の面影が確かに見えたのだ。
後から大きな問題にはなるだろう。
何があるか、敵が誰か、分かっていない現場に王族を連れていくのだ。
だが、全ての責任は自分が負う、とカーネルは即決した。
「畏まりました。
リボンを拝見致します。
失礼致します」
そう言ってオスカーの手首を軽く掴んだカーネルのライトブラウンの瞳が赤く染まった。
オスカーは傍らのグレンジャーの方を見た。
グレンジャーは軽く笑い、自分の赤い瞳を指差した。
この魔力を秘めた赤い目があったから、自分は親父殿に引き取られたのだ。
オスカーは甥だと言っていたが、殿下と呼び掛けていた。
手元で育てられない甥と同い年の自分が養子に選ばれたのは、赤い瞳のせいだけではないのかも知れない。
しかし、それをグダグダ思うのはグレンジャーの性に合わない。
俺は、親父殿もオスカーも、好きなんだ。
そして3人はロザリンドのリボンから感じる彼女の波動を探しながら、飛んだ。