攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
 つまりロザリンドの純潔は今回も守られたことになり。
 次期王妃から目をかけられている彼女は、ますます『逃した大きな魚』になった。


 グレンジャーは帰る前に、オスカーに中途半端な魔法を掛けさせたのはどうしてか、ロザリンドに尋ねた。


「媚薬がね、保護魔法があれば効かないでしょ?
 ミカミさんにあれマズいですよねと指摘されて、慌てて外部攻撃からだけの保護魔法と、後付けで加えたの」

 ロザリンドはオスカーと目と目を見合わせて、笑っていた。
 作家と編集者、良いコンビじゃん、とグレンジャーも笑った。


「あぁなるほどねぇ……ふたりでそう決めたからか」

 グレンジャーはふたりに向けて手を上げるとフッと姿を消した。

 転移魔法、便利過ぎて癖になる。


 ◇◇◇
 

 その日の夜、グレンジャーはカーネルと夕食後話し合った。

 王弟殿下であるオスカーを現場に連れていったことで、魔法省長官の進退問題に発展するかと思われたが。
 王太子殿下の取り成しで、無事、親父殿のクビは繋がった。


「オスカーが王家に入らないこと、陛下は納得したの?」

「王位継承権は、本人があれ程拒否してるからなぁ。
 でも王太子殿下は次代の施政に関わらせたいのを諦めていなくて、卒業後は王城へ呼びたいみたいだな」


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