攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
「……王都から離れる、と言うことか。
だが、それはお前ひとりでは無理な話なのは分かるよな?
ちゃんと組織立って計画を練って、初めて取りかかれる事業だ。
現地の人間に、ここを道にしたい、なんて言われて、お前は山を切り崩すの?
ここへ水を引き入れられたら、便利なんです、と頼まれて川から直接引っ張るために生活道路を横切った水路を作るの?
道を作る、ってことは、そこに存在している生態系を破壊する恐れもあるんだよ。
お前ひとりで、それ全部調べるの?」
「……」
「それは強い魔力を持った魔法使いがひとりだけでする仕事じゃない。
王太子殿下にご相談してみるから。
でもお前の目の付け所が良い、と言うことは認めるし……
お前を息子にした俺の目の付け所もすごく良い、と言うことだな?
尊敬しろよ、愚息よ」
「……尊敬してますよ、父さん」
これまでの親父殿ではなく、初めて『父さん』と呼んだ。
貴族なら『お父上』なんだろうけれど、俺は平民だし。
カーネル・オルコットが酒に酔えば。
しつこくなるだけじゃなくて、泣き上戸になることを、グレンジャーは初めて知った。