攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
 普通科棟へ戻るオスカーを見送っていると、いつの間にかピッパが背中に抱きついていた。


「どした、ピッパ?」

「グレン、そっちじゃないよね?
 オブライエンとは……
 わたし、カムフラージュじゃないよね?」

「馬鹿だなぁ。推し、ってやつだよ」

「……推し?」


 そうか、とこの会話でグレンジャーはピッパが転生者じゃないことを知った。


「推し、ってさぁ。
 そのひとが幸せなら、俺も幸せ、ってやつなの、俺の場合はね。
 ずっとロザリンド嬢とのカップル推し、だったんだ」

「好き、とは違うの?」

「好きと推しの、どっちが上とか下とかないけど。
 優先順位は好きな女の子が一番かなぁ」


 俺のやることや言うことに、きちんと反応してくれるピッパがめっちゃ好きな女の子やで、と彼女の耳元で囁けば。
『朝からいちゃつくんじゃねー!』とグレンジャー達に向かって誰かが叫んでいた。


 ◇◇◇


 昼休み、食堂で今日のランチを購入して、トレイごと中庭へ運ぶ。
 ここで昼食を食べるのは中等部以来だった。


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