攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
 
「そうだねぇ、オスカーは念じれば叶う、と よく俺に言ってたよね」

「それは最後の切り札に、魔法使いを設定していたから」


 転生者ではないカールが来るまで『乙花』について、話す心情になったオスカーだ。


「彼女はファンタジー作家と言っても、異世界恋愛物を得意とする作家だ。
 ハイファンタジーやらヒロイックファンタジーと呼ばれる本格的な物は素養がなくて書けない、と自分でもはっきり言っていたんだ。
『乙花』は、第2章から王太子アーノルドが不穏な動きを見せる。
 その理由は俺、オスカーが王弟として政敵になるから。
 それで俺を潰しにくるから、なんだ」

「……」

「俺の出自設定はまだ彼女の頭の中にしかなかったけれど、アーノルドとの対立は打合せしていたから、これから闘争や陰謀や……
 はっきり言って戸倉穂波的には手に負えない展開が待っている、と本人はビビっていて。
 それでお前、グレンジャーだよ。
 彼女はお前を『念じれば叶う』キャラ設定したんだ」


 グレンジャーは驚いた。
 オスカーがこんなにしゃべる奴だったとは。
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