攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
 
「……お前の方から避けてたの?」

「……カールとはよく目が合ったんだ。
 その目はいつものおとなしそうなあいつの目じゃなくて、俺を観察しているみたいで。
 王家の影で、紛れ込んでるのか、と」


 あー、それはね神様が乗り移ったカールなんだよ、とは言えなくて。
 お気に入りの穂波さんは、神様に対しても。
 推しのオスカーを絶賛してたんだろうな。
 だから自然と向ける目が厳しくなってたんだ。
 グレンジャーは黙って、オスカーの後悔を聞くだけだった。


 それであのビルをやる時、人目がない場所を聞いて?
 見た目通りのおとなしいやつじゃないと判断した?



「よく考えたら、王家の影なら俺達の2組じゃなくて、ランドールやアビゲイル嬢が居る1組に入るはずだもんな。
 前世の記憶が戻って、そんなに日も経ってなくて。
 オスカーはこれで良いのか、毎日あがいていたんだ。 
 周囲をちゃんと見る余裕もなくて、あいつには悪いことをした。
 今更だけど、カールは友達に戻ってくれるのかな……」


 自分の気持ちをさらけ出して、不安を口にするオスカーの肩を、グレンジャーは叩いた。


「昼飯を食おうと言ったら、嬉しそうだった」

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