Far away ~いつまでも、君を・・・~
「別に禁止されてるわけじゃないけど、ウチの部にいたら、恋愛なんて無理だから。」
入学直後に先輩から言われた、そして実際にその通りだった。部活は男女別の活動が多かったし、部活外では、彼氏どころか友人を作るのも難しかった。それでもそんな状況にもめげず、恋人を見つける部員はいないわけではなかったが
(私には、そんなパワ-はないし。)
彩はそう思っていた。そんな自分が、大地に2度目に会った時に告白され、なんと他大学の人と付き合い始めることになった。20歳にして、念願の初彼氏。自分でも信じられない現実だった。
『瀬戸に何回かお前のこと話したら、是非紹介してくれって、ずっとせがまれたんだ。ただ、俺たちは就職活動があったし、お前のとこの部の状況じゃ無理かなって正直思ってたんだ。でもこの間は本当にうまいタイミングだったなぁ。とにかく瀬戸はいい奴だぜ。いいとこに就職したし、廣瀬になら、胸張って紹介出来るオススメ物件だと思う。』
大地とのことを報告すると、斗真はそう言って笑った。
こうして付き合い始めた2人。しかしデートの時間を捻出するのは簡単なことではなかった。だけど
「会いたい男女は、どんなことをしてでも会う。」
というのは本当だと実感した。自主練習時に抜け出すなんて言うのは序の口。例え睡眠時間を削ってでも、彩と大地はデートを重ねた。
付き合い始めてから3か月後にクリスマスイブがやって来た。1日デートなんて、到底無理だったが、それでも夜に2時間ほど時間が出来た。手がかじかむような寒さの夜の公園で、2人は向き合った。
「彩、好きなんだ。これからも、ずっとずっと一緒に居て欲しい。」
「はい。だから大地さんもずっと、私を離さないで。」
見つめ合った2人は、初めて唇を重ね合わせた。彩にとっては、大切なファーストキスだった。
そして年が明け、彩が短い帰省から帰って来てから、2人は初詣に出かけた。
「何をお願いしたの?」
「これからも、ずっと彩と一緒に居られますようにって。」
「嬉しい、ありがとう。」
そんなベタな会話を交わして、彩は大地に寄り添う。この幸せがこれからも続く。そう信じていたのに、その終わりはあっけなかった。
大地の卒業が迫っていた3月、2人は結ばれる約束をした。そして当日、しかし彩は土壇場で首を横に振ってしまった。
「まだ心の準備が出来ない、ごめんなさい。」
そう言って、駆け去る彩を、大地は茫然と見送るだけであった。それが2人の恋の終わりだった。
入学直後に先輩から言われた、そして実際にその通りだった。部活は男女別の活動が多かったし、部活外では、彼氏どころか友人を作るのも難しかった。それでもそんな状況にもめげず、恋人を見つける部員はいないわけではなかったが
(私には、そんなパワ-はないし。)
彩はそう思っていた。そんな自分が、大地に2度目に会った時に告白され、なんと他大学の人と付き合い始めることになった。20歳にして、念願の初彼氏。自分でも信じられない現実だった。
『瀬戸に何回かお前のこと話したら、是非紹介してくれって、ずっとせがまれたんだ。ただ、俺たちは就職活動があったし、お前のとこの部の状況じゃ無理かなって正直思ってたんだ。でもこの間は本当にうまいタイミングだったなぁ。とにかく瀬戸はいい奴だぜ。いいとこに就職したし、廣瀬になら、胸張って紹介出来るオススメ物件だと思う。』
大地とのことを報告すると、斗真はそう言って笑った。
こうして付き合い始めた2人。しかしデートの時間を捻出するのは簡単なことではなかった。だけど
「会いたい男女は、どんなことをしてでも会う。」
というのは本当だと実感した。自主練習時に抜け出すなんて言うのは序の口。例え睡眠時間を削ってでも、彩と大地はデートを重ねた。
付き合い始めてから3か月後にクリスマスイブがやって来た。1日デートなんて、到底無理だったが、それでも夜に2時間ほど時間が出来た。手がかじかむような寒さの夜の公園で、2人は向き合った。
「彩、好きなんだ。これからも、ずっとずっと一緒に居て欲しい。」
「はい。だから大地さんもずっと、私を離さないで。」
見つめ合った2人は、初めて唇を重ね合わせた。彩にとっては、大切なファーストキスだった。
そして年が明け、彩が短い帰省から帰って来てから、2人は初詣に出かけた。
「何をお願いしたの?」
「これからも、ずっと彩と一緒に居られますようにって。」
「嬉しい、ありがとう。」
そんなベタな会話を交わして、彩は大地に寄り添う。この幸せがこれからも続く。そう信じていたのに、その終わりはあっけなかった。
大地の卒業が迫っていた3月、2人は結ばれる約束をした。そして当日、しかし彩は土壇場で首を横に振ってしまった。
「まだ心の準備が出来ない、ごめんなさい。」
そう言って、駆け去る彩を、大地は茫然と見送るだけであった。それが2人の恋の終わりだった。