Far away ~いつまでも、君を・・・~
沈黙が2人を包む。やがて
「大地さん、あの時は本当にごめんなさい。私・・・。」
耐えきれなくなった彩が、そう切り出すと
「びっくりしたろ。」
それを遮るように、大地が言った。
「まさか、元カレがノコノコ自分のホテルに、式場見学に現れて。その上、結婚式担当しろってな・・・、普通ありえないよな。」
「もちろん驚いたし、戸惑った。でもあなたの方こそ、抵抗なかったの?」
彩が聞き返すと
「大ありだったよ、というか返信されて来たメールの発信者見て、ひっくり返りそうになった。君がホテリエになったことは、なんとなく聞いてたけど、どこのホテルかまでは知らなかったし、ましてウェディングプランナ-になってるなんて、夢にも思ってなかったから。なんでよりにもよってって・・・頭抱えたよ。」
そう言って笑う大地。
「見学の時は、同姓同名の別人である可能性に賭けてたんだけど、まぁそんなわけ、ねぇよな。」
「私も同じ。」
ここで彩も少し笑顔になる。
「正直言えば、あの時の君の説明なんか、ほとんど耳に入っちゃいなかった。とにかく早く時が過ぎないか、そればっかり考えてた。」
「ごめんなさい・・・。」
「君が謝ることじゃない、こっちが押し掛けたんだから。とにかく彼女が、君のホテルにご執心でさ。仕方なく見学くらいならと付き合ったんだが、しんどかった。」
「・・・。」
「あの後、4か所ほど、他の式場やホテルを周って、俺はなんとかそのどこかにしようと思ったんだけど、麻美が『どうしてもベイサイドシティがいい。施設もプランナ-さんも一番よかったから』って、頑として譲らなくて・・・。」
「大地さん・・・。」
彩は思わず俯く。
「それで仕方なく・・・話したよ、俺と君のこと。」
「えっ?」
その言葉に、驚いて顔を上げる彩。
「そしたら、あいつ、なんて言ったと思う?『あの時の2人見てて、なんとなくそんな気がしてた』だって。女の勘は鋭いとはよく聞くが、本当だな。」
そう言って苦笑いする大地に、言葉を失う彩。
「それがわかってて、なんでって聞いたら、『だって終わったことでしょ』って、あっけらかんと言った挙げ句に、『もし大地が廣瀬さんを振ったんなら、廣瀬さんに申し訳ないから諦めるけど、逆なら大地は私の為に我慢して』だって。全く、なんて彼女なんだろうな。」
そう言った大地の表情は、言葉とは裏腹に穏やかだった。
「大地さん、あの時は本当にごめんなさい。私・・・。」
耐えきれなくなった彩が、そう切り出すと
「びっくりしたろ。」
それを遮るように、大地が言った。
「まさか、元カレがノコノコ自分のホテルに、式場見学に現れて。その上、結婚式担当しろってな・・・、普通ありえないよな。」
「もちろん驚いたし、戸惑った。でもあなたの方こそ、抵抗なかったの?」
彩が聞き返すと
「大ありだったよ、というか返信されて来たメールの発信者見て、ひっくり返りそうになった。君がホテリエになったことは、なんとなく聞いてたけど、どこのホテルかまでは知らなかったし、ましてウェディングプランナ-になってるなんて、夢にも思ってなかったから。なんでよりにもよってって・・・頭抱えたよ。」
そう言って笑う大地。
「見学の時は、同姓同名の別人である可能性に賭けてたんだけど、まぁそんなわけ、ねぇよな。」
「私も同じ。」
ここで彩も少し笑顔になる。
「正直言えば、あの時の君の説明なんか、ほとんど耳に入っちゃいなかった。とにかく早く時が過ぎないか、そればっかり考えてた。」
「ごめんなさい・・・。」
「君が謝ることじゃない、こっちが押し掛けたんだから。とにかく彼女が、君のホテルにご執心でさ。仕方なく見学くらいならと付き合ったんだが、しんどかった。」
「・・・。」
「あの後、4か所ほど、他の式場やホテルを周って、俺はなんとかそのどこかにしようと思ったんだけど、麻美が『どうしてもベイサイドシティがいい。施設もプランナ-さんも一番よかったから』って、頑として譲らなくて・・・。」
「大地さん・・・。」
彩は思わず俯く。
「それで仕方なく・・・話したよ、俺と君のこと。」
「えっ?」
その言葉に、驚いて顔を上げる彩。
「そしたら、あいつ、なんて言ったと思う?『あの時の2人見てて、なんとなくそんな気がしてた』だって。女の勘は鋭いとはよく聞くが、本当だな。」
そう言って苦笑いする大地に、言葉を失う彩。
「それがわかってて、なんでって聞いたら、『だって終わったことでしょ』って、あっけらかんと言った挙げ句に、『もし大地が廣瀬さんを振ったんなら、廣瀬さんに申し訳ないから諦めるけど、逆なら大地は私の為に我慢して』だって。全く、なんて彼女なんだろうな。」
そう言った大地の表情は、言葉とは裏腹に穏やかだった。