Far away ~いつまでも、君を・・・~
⑦
「7年ぶりか・・・。」
彩は思わず独り言ちた。様々な思い出が詰まった学び舎は、変わっていなかった。懐かしさと何とも言えない甘酸っぱい思いがこみ上げてくるのを、彩は抑えきれずにいた。
「さぁ、行こう。」
校門の前で、しばし立ち尽くす親友に、遥が声を掛ける。その声に、我に返ったように遥を見た彩は
「うん、行こう。」
頷いて、歩を進める。この日は日曜日で、校舎に入ることは出来ないが、目に入る光景が全て懐かしく、そしていろんな思い出が甦って来る。
「おはようございます。本日はご出席、ありがとうございます。」
校舎入口前の受付は、8月の暑い日差しを避けるように設けられており、かつての自分たちのような現役女子部員3名が、彩たちを迎えてくれる。
「今日はお世話になります。73期卒の廣瀬彩と香田遥です。よろしくお願いします。」
代表して彩がそう告げると
「廣瀬先輩ですか?お待ちしておりました。」
対応してくれた部員が、パッと表情を輝かせる。
「初めまして。私、主将の葉山千夏です。先輩のお話は、よく伺っています。二階先生からは、今日の試合での先輩の姿をよく見て、勉強するようにと言われています。どうか、よろしくお願いします。」
そう言ってペコリと頭を下げる千夏の仕種は微笑ましかったが
「参ったなぁ。大学卒業してから、あんまり弓も握ってないし、とてもあなたたちのお手本とか参考にはならないと思うよ。」
困惑しながら、彩は答える。しかし、瞳をキラキラさせながら、彩を見る千夏は、憧れの表情を隠そうともしない。
「だいぶ、彼女たちに彩のこと、宣伝してるみたいだね、二階くん。」
受付を済ませ、歩き出すと、遥に冷やかされ
「全く冗談じゃないよ、アイツ。こっちは仕事が忙しくて、この前、弓引いたのいつかなんて、パッと思い出せないくらいなのに、みんなの期待値勝手に上げてさ。」
彩はむくれている。
彩の頃からは、見違えるようにリニューアルされた更衣室で、久々の袴姿に着替え
「お互い、恰好だけはまだ様になってるね。」
と笑い合った2人は、まずは集合場所である体育館に向かう。
中には、既に大勢の出席者が集まっており、彩は旧知の人や同級生たちと挨拶を交わす。赴任先から出席の町田の姿も、そこにあった。
そして会の開始を告げるべく、OB・OG会長がマイクの前に立った。
彩は思わず独り言ちた。様々な思い出が詰まった学び舎は、変わっていなかった。懐かしさと何とも言えない甘酸っぱい思いがこみ上げてくるのを、彩は抑えきれずにいた。
「さぁ、行こう。」
校門の前で、しばし立ち尽くす親友に、遥が声を掛ける。その声に、我に返ったように遥を見た彩は
「うん、行こう。」
頷いて、歩を進める。この日は日曜日で、校舎に入ることは出来ないが、目に入る光景が全て懐かしく、そしていろんな思い出が甦って来る。
「おはようございます。本日はご出席、ありがとうございます。」
校舎入口前の受付は、8月の暑い日差しを避けるように設けられており、かつての自分たちのような現役女子部員3名が、彩たちを迎えてくれる。
「今日はお世話になります。73期卒の廣瀬彩と香田遥です。よろしくお願いします。」
代表して彩がそう告げると
「廣瀬先輩ですか?お待ちしておりました。」
対応してくれた部員が、パッと表情を輝かせる。
「初めまして。私、主将の葉山千夏です。先輩のお話は、よく伺っています。二階先生からは、今日の試合での先輩の姿をよく見て、勉強するようにと言われています。どうか、よろしくお願いします。」
そう言ってペコリと頭を下げる千夏の仕種は微笑ましかったが
「参ったなぁ。大学卒業してから、あんまり弓も握ってないし、とてもあなたたちのお手本とか参考にはならないと思うよ。」
困惑しながら、彩は答える。しかし、瞳をキラキラさせながら、彩を見る千夏は、憧れの表情を隠そうともしない。
「だいぶ、彼女たちに彩のこと、宣伝してるみたいだね、二階くん。」
受付を済ませ、歩き出すと、遥に冷やかされ
「全く冗談じゃないよ、アイツ。こっちは仕事が忙しくて、この前、弓引いたのいつかなんて、パッと思い出せないくらいなのに、みんなの期待値勝手に上げてさ。」
彩はむくれている。
彩の頃からは、見違えるようにリニューアルされた更衣室で、久々の袴姿に着替え
「お互い、恰好だけはまだ様になってるね。」
と笑い合った2人は、まずは集合場所である体育館に向かう。
中には、既に大勢の出席者が集まっており、彩は旧知の人や同級生たちと挨拶を交わす。赴任先から出席の町田の姿も、そこにあった。
そして会の開始を告げるべく、OB・OG会長がマイクの前に立った。