Far away ~いつまでも、君を・・・~
③
次の日の放課後、彩は少し早めに道場に入ると、何本か弓を射った。選手選考日まで、あとわずか。それだけに、少しでも今は弓に触れていたかった。
「早いね。」
そんな声が掛かり、振り返ると
「主将。」
由理佳の姿が、そこにあった。
「遥は?」
「もうすぐ来ると思います。日直なんです、あの子。」
「そっか。」
そんなことを話しながら、由理佳は彩と肩を並べた。
「昨日、二階にガツンと言ったらしいね。」
「はい。」
「やっぱり気になる?アイツのこと。」
「ちょっと、止めて下さい。」
からかうように言う由理佳に、彩は本当に嫌そうな顔をする。
「なんであの子が、私にあんなにご執心なのか、さっぱりわかりませんけど、本当に無理ですから。」
真面目な顔で訴えるように言う彩。
「わかった、わかった。」
と笑いながら答えた由理佳に
「とにかく私、弓道にちゃんと向き合わないアイツ見てると、ムカムカして来るんで。」
と吐き捨てるように、彩は言う。
「私だって、弓道部に入ったキッカケは、部活見学の時に見た主将、由理佳さんの姿に憧れたからです。」
その言葉に由理佳は、少しくすぐったそうな笑みを浮かべる。
「ある意味、単純だったし、弓道、全力で頑張るぞって燃えて入ったわけでもありません。だからキッカケのことで、アイツにとにかく言う資格なんて私にはない。」
「・・・。」
「でも私は、一所懸命に弓道に向き合った。最初のうちは、由理佳さんの姿を見て、見よう見まねでやってただけでしたけど、でも、やってるうちにドンドン弓道の魅力に取り憑かれていって・・・。でもあの子は、部活を私に近づく手段としか思ってなくて、ハナから弓道なんかどうでもいいと思ってる。それがとにかく腹立たしいんです。」
そう言って、まっすぐに自分を見つめる彩に
「そっか、そうだよね。彩は・・・頑張ったもんね。斗真もいつも褒めてた。」
由理佳は優しい笑顔で言った。
「ところで、彩はどう思う。」
「えっ?」
「今日、二階、来ると思う?」
「さぁ?興味ありませんけど、多分来ないと思いますよ。昨日、あれだけはっきり言ってやったし。」
そう突き放したように答えた彩に
「けど、もし来たら、まだ見込みあるってことだよね。」
と由理佳。
「まさか・・・。」
彩がそう答えかけた時
「失礼します!」
と入って来た一人の男子。その顔を見て、驚く彩の横で
「オッス。」
そう挨拶を返した由理佳は、ニコリと彩に向かって微笑んだ。
「早いね。」
そんな声が掛かり、振り返ると
「主将。」
由理佳の姿が、そこにあった。
「遥は?」
「もうすぐ来ると思います。日直なんです、あの子。」
「そっか。」
そんなことを話しながら、由理佳は彩と肩を並べた。
「昨日、二階にガツンと言ったらしいね。」
「はい。」
「やっぱり気になる?アイツのこと。」
「ちょっと、止めて下さい。」
からかうように言う由理佳に、彩は本当に嫌そうな顔をする。
「なんであの子が、私にあんなにご執心なのか、さっぱりわかりませんけど、本当に無理ですから。」
真面目な顔で訴えるように言う彩。
「わかった、わかった。」
と笑いながら答えた由理佳に
「とにかく私、弓道にちゃんと向き合わないアイツ見てると、ムカムカして来るんで。」
と吐き捨てるように、彩は言う。
「私だって、弓道部に入ったキッカケは、部活見学の時に見た主将、由理佳さんの姿に憧れたからです。」
その言葉に由理佳は、少しくすぐったそうな笑みを浮かべる。
「ある意味、単純だったし、弓道、全力で頑張るぞって燃えて入ったわけでもありません。だからキッカケのことで、アイツにとにかく言う資格なんて私にはない。」
「・・・。」
「でも私は、一所懸命に弓道に向き合った。最初のうちは、由理佳さんの姿を見て、見よう見まねでやってただけでしたけど、でも、やってるうちにドンドン弓道の魅力に取り憑かれていって・・・。でもあの子は、部活を私に近づく手段としか思ってなくて、ハナから弓道なんかどうでもいいと思ってる。それがとにかく腹立たしいんです。」
そう言って、まっすぐに自分を見つめる彩に
「そっか、そうだよね。彩は・・・頑張ったもんね。斗真もいつも褒めてた。」
由理佳は優しい笑顔で言った。
「ところで、彩はどう思う。」
「えっ?」
「今日、二階、来ると思う?」
「さぁ?興味ありませんけど、多分来ないと思いますよ。昨日、あれだけはっきり言ってやったし。」
そう突き放したように答えた彩に
「けど、もし来たら、まだ見込みあるってことだよね。」
と由理佳。
「まさか・・・。」
彩がそう答えかけた時
「失礼します!」
と入って来た一人の男子。その顔を見て、驚く彩の横で
「オッス。」
そう挨拶を返した由理佳は、ニコリと彩に向かって微笑んだ。