Far away ~いつまでも、君を・・・~
会は盛会のうちに幕を閉じ、参加者は別れを惜しみ、来年の再会を誓い、ある者は家路につき、またある者は気の合った面々との2次会に繰り出して行った。
全員を見送り、部員たちを率いて、学校に戻った尚輝は、彼らと後片付けを済ませると
「今日は夏休みなのに、みんなご苦労さん。この会が毎年こうやって盛大に開けるのも、お前達の献身的な協力があってのことだ。本当にありがとう。」
と生徒たちを労った。
「いえ、私たちも楽しかったですし、先輩たちから学ぶこともいっぱいありました。それに美味しい物もたくさん食べられましたし、私たちの方こそ、ありがとうございました。」
それに対して、主将の千夏が笑顔で答える。
「そうか、そう言ってもらえると、俺も嬉しい。じゃ、解散しよう。みんな気をつけて帰れよ。練習再開日には、全員元気な顔を見せてくれ。」
「はい。じゃ、失礼します。」
そう言って一礼すると、部員たちは歩き出して行った。彼らを見送り、歩き出そうとした尚輝に
「みんないい子たちだね。」
と声が掛かる。ハッとして振り返るとそこには、優しい笑顔を浮かべた彩が立っていた。
「彩先輩。」
「お疲れ様、尚輝。」
そう言いながら、近づいて来る彩。
「何人かの部員と話したけど、みんな純真で、真っすぐで、弓道が好きで、ついでに顧問を慕ってて。いい部にしたじゃない。」
「俺、慕われてますかね?」
「うん。児玉先生にも負けてないと思うよ。葉山さんなんか、あんたのこと話す時、目をキラキラさせちゃって。年頃の子をあんまり惑わすんじゃないよ。」
「バカなこと言わないで下さい。」
「ムキになるところが怪しい。」
「ちょっと、京香と同じようなこと、言わないで下さいよ。」
「そっか。愛しの彼女がちゃんと目を光らせてるんだもんね。じゃ、大丈夫だ。」
「いい加減にして下さい。京香がいなくても、大丈夫です。」
ちょっとムッとしたように尚輝は言う。
「わかったわかった。冗談だよ。」
さっきの敵討ちをしたつもりなのか、楽しそうに笑う彩。
「それよりどうしたんですか、こんな所で。遥先輩や町田さんたちと飲みに行かないんですか?」
気を取り直して尋ねる尚輝に
「そうしたいのはヤマヤマなんだけど、もう帰らないと。明日は仕事だし。」
と答える彩。
「そうなんですか?」
「これでも一応ホテリエなんで。まぁ私の部署は今、比較的暇なんで、昨日今日と我が儘言わせてもらっちゃったけど、本当なら、このお盆のトップシーズンに連休なんてありえないよ。」
そう言って笑う彩。
「それで、帰る前に久しぶりに花壇を見て行こうかと思ってさ。」
「そうですか。じゃ、一緒に行きましょう。俺もちょうど水やりに行こうと思ってたんで。」
「えっ、あんたが?」
「ええ。俺にとっては大切な思い出の場所なんで。」
「尚輝・・・。」
ハッとしたように、自分を見た彩に
「行きましょう。」
そう言って、尚輝は歩き出した。
全員を見送り、部員たちを率いて、学校に戻った尚輝は、彼らと後片付けを済ませると
「今日は夏休みなのに、みんなご苦労さん。この会が毎年こうやって盛大に開けるのも、お前達の献身的な協力があってのことだ。本当にありがとう。」
と生徒たちを労った。
「いえ、私たちも楽しかったですし、先輩たちから学ぶこともいっぱいありました。それに美味しい物もたくさん食べられましたし、私たちの方こそ、ありがとうございました。」
それに対して、主将の千夏が笑顔で答える。
「そうか、そう言ってもらえると、俺も嬉しい。じゃ、解散しよう。みんな気をつけて帰れよ。練習再開日には、全員元気な顔を見せてくれ。」
「はい。じゃ、失礼します。」
そう言って一礼すると、部員たちは歩き出して行った。彼らを見送り、歩き出そうとした尚輝に
「みんないい子たちだね。」
と声が掛かる。ハッとして振り返るとそこには、優しい笑顔を浮かべた彩が立っていた。
「彩先輩。」
「お疲れ様、尚輝。」
そう言いながら、近づいて来る彩。
「何人かの部員と話したけど、みんな純真で、真っすぐで、弓道が好きで、ついでに顧問を慕ってて。いい部にしたじゃない。」
「俺、慕われてますかね?」
「うん。児玉先生にも負けてないと思うよ。葉山さんなんか、あんたのこと話す時、目をキラキラさせちゃって。年頃の子をあんまり惑わすんじゃないよ。」
「バカなこと言わないで下さい。」
「ムキになるところが怪しい。」
「ちょっと、京香と同じようなこと、言わないで下さいよ。」
「そっか。愛しの彼女がちゃんと目を光らせてるんだもんね。じゃ、大丈夫だ。」
「いい加減にして下さい。京香がいなくても、大丈夫です。」
ちょっとムッとしたように尚輝は言う。
「わかったわかった。冗談だよ。」
さっきの敵討ちをしたつもりなのか、楽しそうに笑う彩。
「それよりどうしたんですか、こんな所で。遥先輩や町田さんたちと飲みに行かないんですか?」
気を取り直して尋ねる尚輝に
「そうしたいのはヤマヤマなんだけど、もう帰らないと。明日は仕事だし。」
と答える彩。
「そうなんですか?」
「これでも一応ホテリエなんで。まぁ私の部署は今、比較的暇なんで、昨日今日と我が儘言わせてもらっちゃったけど、本当なら、このお盆のトップシーズンに連休なんてありえないよ。」
そう言って笑う彩。
「それで、帰る前に久しぶりに花壇を見て行こうかと思ってさ。」
「そうですか。じゃ、一緒に行きましょう。俺もちょうど水やりに行こうと思ってたんで。」
「えっ、あんたが?」
「ええ。俺にとっては大切な思い出の場所なんで。」
「尚輝・・・。」
ハッとしたように、自分を見た彩に
「行きましょう。」
そう言って、尚輝は歩き出した。