Far away ~いつまでも、君を・・・~
少し遅れて新郎一家も登場。やはりそれぞれをそれぞれの場所に案内して、息つく間もなく、今度は本日受付を担当するゲストが到着。彼らを場所に案内して、それぞれの役割と流れを説明する。


そうこうしているうちに、花嫁の準備が整う頃で、彩は足早にブライズル-ムに急ぐ。


「完了しました。」


スタッフからの報告に頷いて、控室に入ると、純白のウェディングドレスを纏い、緊張気味に座っていた遥が静かに立ち上がる。


「彩、どうかな?」


と不安そうに尋ねてくる遥。その姿のあまりの美しさに、思わず息を飲んだ彩は


「綺麗・・・本当に綺麗だよ、遥。」


感に堪えないという表情と声音で言った。


「本当?よかった、ありがとう、彩。」


その彩の言葉に、安心したように遥は笑顔になる。


(素敵な笑顔・・・。)


見慣れている親友の笑顔が、今日はひときわ輝いて見える。そこへ


「新郎様、入られます。」


と声が掛かり、スタッフに案内されて、町田が入って来た。


「新婦様がお待ちかねです。」


そう言って、出迎えた彩に促されるように視線を向けた先に、艶然と微笑む遥を見た町田は、やはり息を飲んだように立ち尽くす。


「いかがですか?」


笑顔で尋ねる彩に


「綺麗だ・・・俺にはもったいないくらいに綺麗な花嫁だよ、遥・・・。」


つぶやくように町田は答える。


「浩人・・・ありがとう。」


やはり誰よりも町田に褒められたのが嬉しかったのだろう。遥は満面の笑みになる。


「せっかくですから、横にお並び下さい。」


彩は町田を促す。そして並んだ2人を見て


「お似合いのカップルです、羨ましくなるくらい。新婦様はもちろん、新郎様もいつもより数段輝いてらっしゃいます。」


と口にする。


「バ、バカ。からかうなよ。」


途端に町田が慌てたように言う。プランナ-としての丁寧口調で言われたから、余計に照れ臭かったようだ。


「からかってないよ。知り合ってから、初めてマチヒロがかっこいいと思った。さすが遥のお眼鏡に適っただけのことはあるね。」


と今度は友だち口調で返すと


「いい加減にしろよ。」


と顔を真っ赤にして言って来るから、彩は吹き出しそうになるのを、懸命にこらえる。


「それでは、リハ-サルに向かいます。」


そう言って、2人を先導し始めた彩は、一瞬にしてプランナ-の顔に戻っていた。
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