Far away ~いつまでも、君を・・・~
インターハイに出場できるのは、各都道府県から団体が代表1校と個人が代表2名のみ。そのハードルは相当高い。だが、3年生にとっては、これが部活動の集大成であり、その予選に賭ける思いは、相当に強い。


高校野球の県予選のように、大きく報じられることはないが、その熱気は全く引けを取るものではない。


颯天高でも、その舞台に立つ為の部内選考会が行われ、団体戦が男女各1チーム、個人戦が男女各2名が、それぞれエントリーすることとなった。


主将の由理佳は団体、個人両方にエントリー、そして彩も2年生ながら、団体戦のメンバーに選ばれた。


「おめでとう、彩。」


遥から祝福を受けた彩は


「ありがとう。正直、出られなかった3年生には申し訳ない気もするけど・・・。」


と複雑な表情を見せたが


「何言ってんの。実力の世界なんだから、そんなふうに思ったら、かえって先輩達に失礼だよ。」


遥に発破を掛けられ


「うん、そうだよね。」


と思い直したように頷いた。


そして尚輝からも


「流石は彩先輩。俺は絶対に先輩は代表に選ばれると思ってました。おめでとうございます。」


と祝福されたが


「そう、ありがとう。」


例によって、塩対応。彩は素っ気なく、そう答えただけだった。


「それで・・・よかったら、先輩の代表選出のお祝いに、ハンバ-ガ-でも食べに行きませんか?」


そんなことにはめげずに、誘いを掛けて来る尚輝を冷たく一瞥した彩は


「これでも一応本気で、インハイ目指してるんで。そんな暇ないし、無理だから。」


と言い捨てると、しょげる尚輝を尻目に、サッサと歩き出した。


「めげないねぇ、彼。」


歩きながら、遥が言い出す。


「あの情熱のほんの少しでも弓道にぶつければいいのにね。」


「本当だよ。」


その遥の言葉に頷きながら、彩は足早に更衣室に向かった。
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