Far away ~いつまでも、君を・・・~
➉
「ねぇ、何見てるの?」
濡れた手をタオルで拭きながら、問い掛けてくる恋人を見やると、尚輝は手にしていた携帯の画面を、彼女に見せた。
「町田先輩からメールが来たんだ。結婚式、無事に終わったって。」
「そっか、今日だったね。」
新人戦の引率を終えて、尚輝が帰宅すると、京香が出迎えてくれた。自分を見送った後、帰ったと思っていたのだが、掃除や洗濯をしながら、帰りを待っていてくれたようだ。
夕飯の準備もすっかり整っていた。恋人の手料理に舌鼓を打ち、後片付けの為にキッチンに立った京香の後ろ姿を、幸せを噛み締めながら眺めていた尚輝の耳に、メールの着信音が入って来た。
尚輝から受け取ったスマホを手にした京香は
「うわぁ。綺麗だね、遥さん。」
と感に耐えないといった表情で言う。
「そうだな。幸せそうな顔してる。」
「そりゃそうだよ。女にとっては、一世一代の晴れ姿だもん。」
「確かに。」
京香の言葉に、頷く尚輝。
「この姿に憧れない女子はいないって。私はいつになったら、このドレス、着られるのかな?」
そう言って、京香は思わせぶりな視線を尚輝に送る。
「ま、まぁそれは・・・おいおい相談と言うことで・・・。」
なんとなくたじろぎながら答える尚輝。
「なんだ、つまんない。」
そんな恋人の返答に、やや拗ねたように、京香は唇を尖らせる。
「いや、だって今はまだお互いに仕事を第一に考えなきゃならない時期だろう。まして、お前はまだ就職1年目だし・・・。」
取り繕うように、そんなことを言う尚輝に
「わかったわかった。でもおいおい相談ってことは、前向きに検討って受け止めてよろしいんでしょうか?」
顔を覗き込むような仕種で、京香は尋ねる。
「そ、それはもちろんだよ。」
やや焦り気味に尚輝は答えると
「なら、今日はそれでよしとしましょう。」
その答えを聞いた京香は、今度はいたずらっぽい笑みを浮かべて頷いた。
「それにしてもさ。」
「うん?」
「遥さんはもちろん綺麗だけど、彩さんも相変わらず美しいね。」
笑顔で並ぶ、遥と町田の少し後方に写る彩の姿を見ながら、京香は言う。
「まぁな。でも所詮、花嫁さんには敵わんだろ。」
尚輝は気のない返事をする。
濡れた手をタオルで拭きながら、問い掛けてくる恋人を見やると、尚輝は手にしていた携帯の画面を、彼女に見せた。
「町田先輩からメールが来たんだ。結婚式、無事に終わったって。」
「そっか、今日だったね。」
新人戦の引率を終えて、尚輝が帰宅すると、京香が出迎えてくれた。自分を見送った後、帰ったと思っていたのだが、掃除や洗濯をしながら、帰りを待っていてくれたようだ。
夕飯の準備もすっかり整っていた。恋人の手料理に舌鼓を打ち、後片付けの為にキッチンに立った京香の後ろ姿を、幸せを噛み締めながら眺めていた尚輝の耳に、メールの着信音が入って来た。
尚輝から受け取ったスマホを手にした京香は
「うわぁ。綺麗だね、遥さん。」
と感に耐えないといった表情で言う。
「そうだな。幸せそうな顔してる。」
「そりゃそうだよ。女にとっては、一世一代の晴れ姿だもん。」
「確かに。」
京香の言葉に、頷く尚輝。
「この姿に憧れない女子はいないって。私はいつになったら、このドレス、着られるのかな?」
そう言って、京香は思わせぶりな視線を尚輝に送る。
「ま、まぁそれは・・・おいおい相談と言うことで・・・。」
なんとなくたじろぎながら答える尚輝。
「なんだ、つまんない。」
そんな恋人の返答に、やや拗ねたように、京香は唇を尖らせる。
「いや、だって今はまだお互いに仕事を第一に考えなきゃならない時期だろう。まして、お前はまだ就職1年目だし・・・。」
取り繕うように、そんなことを言う尚輝に
「わかったわかった。でもおいおい相談ってことは、前向きに検討って受け止めてよろしいんでしょうか?」
顔を覗き込むような仕種で、京香は尋ねる。
「そ、それはもちろんだよ。」
やや焦り気味に尚輝は答えると
「なら、今日はそれでよしとしましょう。」
その答えを聞いた京香は、今度はいたずらっぽい笑みを浮かべて頷いた。
「それにしてもさ。」
「うん?」
「遥さんはもちろん綺麗だけど、彩さんも相変わらず美しいね。」
笑顔で並ぶ、遥と町田の少し後方に写る彩の姿を見ながら、京香は言う。
「まぁな。でも所詮、花嫁さんには敵わんだろ。」
尚輝は気のない返事をする。