Far away ~いつまでも、君を・・・~
冬の全国選抜と夏のインタ-ハイ。これが高校弓道部にとっては2大目標になる。過去に廣瀬彩のように、その出場権にあと一歩まで近づいた選手はいるが、結局、颯天高から出場選手はまだ出ていない。
まして、ここ数年低迷を続けて来た颯天高弓道部にとっては、千夏の存在は久々の明るい話題であり、学校がある程度沸き立つのは無理もない部分はある。
尚輝自身も、期待するところ大ではあるが、その一方で
(そんなに甘いもんじゃねぇよ。)
という思いも持っていた。
(彩先輩は確かに優秀な選手だったけど、あの時の女子チ-ムには遥先輩や他にもいい選手がいた。それに比べれば落ちたのは確かだけど、男子にだって町田さんや自分で言うのもなんだが、俺もいた。だが、今のチ-ムは男女を通じて、葉山の存在が突出してしまっている。葉山は彩先輩より、全国に近い位置にいるとは思うが、その分、プレッシャ-は先輩よりだいぶ大きくなってしまってるのは間違いない。なんとか俺が葉山の風よけになってやらないと。)
その日の練習の最中、尚輝は千夏に声を掛けた。
「葉山、いろいろ周りから言われて大変だろうが、あまり自分にプレッシャ-を掛け過ぎるな。周りの声なんか、話半分に聞いてればいい。お前はただ、目の前の的を射抜くことだけを考えてればいいんだからな。」
「わかってます。私は所詮、私ですから、いくら期待されても、実力以上のものは出せませんし。あんまり高望みせず、背伸びしないで、頑張ります。」
「それならいい。その気持ちを忘れなければ、大丈夫だ。」
「ありがとうございます。」
そう言って一礼したあと
「でも、先生。」
「うん?」
「期待されるって、いい気持ちですね。」
「葉山・・・。」
「私、そのプレッシャ-、結構楽しんじゃってたりしてます。」
そう言って、ニッコリ微笑むと、千夏は練習待ちの列に戻って行く。
(すげぇな、アイツ・・・。)
彼女の姿を目で追いながら、尚輝はやや呆気にとられたような心境になっていた。
(彩先輩、葉山はひょっとしたら、先輩を遥かに凌ぐ大物かもしれません・・・。)
思わず遠い空の下にいる彩に、そんなことを語り掛けていた。
まして、ここ数年低迷を続けて来た颯天高弓道部にとっては、千夏の存在は久々の明るい話題であり、学校がある程度沸き立つのは無理もない部分はある。
尚輝自身も、期待するところ大ではあるが、その一方で
(そんなに甘いもんじゃねぇよ。)
という思いも持っていた。
(彩先輩は確かに優秀な選手だったけど、あの時の女子チ-ムには遥先輩や他にもいい選手がいた。それに比べれば落ちたのは確かだけど、男子にだって町田さんや自分で言うのもなんだが、俺もいた。だが、今のチ-ムは男女を通じて、葉山の存在が突出してしまっている。葉山は彩先輩より、全国に近い位置にいるとは思うが、その分、プレッシャ-は先輩よりだいぶ大きくなってしまってるのは間違いない。なんとか俺が葉山の風よけになってやらないと。)
その日の練習の最中、尚輝は千夏に声を掛けた。
「葉山、いろいろ周りから言われて大変だろうが、あまり自分にプレッシャ-を掛け過ぎるな。周りの声なんか、話半分に聞いてればいい。お前はただ、目の前の的を射抜くことだけを考えてればいいんだからな。」
「わかってます。私は所詮、私ですから、いくら期待されても、実力以上のものは出せませんし。あんまり高望みせず、背伸びしないで、頑張ります。」
「それならいい。その気持ちを忘れなければ、大丈夫だ。」
「ありがとうございます。」
そう言って一礼したあと
「でも、先生。」
「うん?」
「期待されるって、いい気持ちですね。」
「葉山・・・。」
「私、そのプレッシャ-、結構楽しんじゃってたりしてます。」
そう言って、ニッコリ微笑むと、千夏は練習待ちの列に戻って行く。
(すげぇな、アイツ・・・。)
彼女の姿を目で追いながら、尚輝はやや呆気にとられたような心境になっていた。
(彩先輩、葉山はひょっとしたら、先輩を遥かに凌ぐ大物かもしれません・・・。)
思わず遠い空の下にいる彩に、そんなことを語り掛けていた。