Far away ~いつまでも、君を・・・~
「でもマチヒロが仕事に行ってる間は、どうしてるの?」


「周りに全然友だちがいないからね。生活必需品の買い物以外はほとんど家から出ないな。でも、掃除したり、洗濯したり、ご飯の準備したりして、真面目に主婦やってるうちに、時間なんて、あっと言う間だよ。」


「そんなものかな。でも単調で飽きない?」


「ぜ〜んぜん。愛しの旦那様の為に家事して、その帰りを待って、帰ってきたらギュッしてもらって・・・とにかく毎日が楽しくて、幸せ。」


臆面もなく、デレ続ける親友に


(遥って、こんなキャラクターだったっけ?)


彩は戸惑いを覚えてしまう。


「なんか、こっちが顔赤くなって来たんだけど・・・。でも、まぁ遥が幸せなのは十分伝わって来たから、よかったよ。」


取り合わず、話を纏めようとすると


「羨ましくなった?」


「えっ?」


「今の私の話を聞いて、羨ましいなぁって思わなかった?」


やや勢いこんで聞いて来る遥。


「遥・・・。」


遥の様子に、戸惑っていると


「彩が心配なんだよ。」


自分をまっすぐ見て言う遥に、彩はますますキョトンとする。


「彩が仕事頑張ってるのは、よくわかった。彩は素晴らしいウェディングプランナ-だよ。友たちだからとか、そんなの関係なく、彩にプランナ-をお願いして本当によかったと思ってる。もし、誰かから結婚式の相談をされたら、ホテルベイサイドシティに廣瀬彩っていう素晴らしいプランナ-さんがいるから是非、紹介してあげるって、自信もって言えるよ。」


「それはそれは・・・お褒めに預かり、光栄です。」


ややおちゃらけながらそう言って、彩は頭を下げるが、遥の表情は真剣そのもの。


「今、彩は仕事に乗ってるんだと思う。充実した毎日なのかもしれない。でも・・・余計なお世話かもしれないけど、今の彩は仕事ばっかじゃん。」


そう言って、遥はまっすぐに彩を見る。


「仕事一筋が悪いわけじゃないけど、今の彩を見てると、本当に心配なんだよ。どこかでポッキリ折れちゃうんじゃないかって。」


「・・・。」


「彩はなんで、そんなに恋愛に消極的なの?」


単刀直入に聞かれて、彩は一瞬言葉に詰まったが


「別に・・・消極的なつもりはないよ。出会いがないだけで。」


と答える。


「出会いがないのは、確かかもしれないけど、でも積極的に求めようともしてないよね。」


「・・・。」
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