Far away ~いつまでも、君を・・・~
「恋愛に興味ない?」


「そんなこと、ないけど・・・。」


「プランナ-さんって、結婚が身近過ぎて、かえって夢を見られなくなってしまうって聞いたことあるけど。」


「まぁ、いろんなカップルがいるからね。遥たちはそんなことなかったけど、結婚式の準備を進めて行くうちに、新郎新婦が揉め出すことなんか、全然珍しくないし。そんな時には、内心ため息をついてるのは確かだけど、でもそれで結婚に対して後ろ向きになるとか、そういうことは少なくても私はないよ。私、正直遥が羨ましいし、結婚願望は人並みにはあるつもりだから。」


そう言って、彩は笑う。


「そっか。それなら少し安心したけどさ。」


つられるように遥も笑顔になる。


「この間の二次会も、遥が私の為にいろいろ考えてくれてたのは、ちゃんとわかってた。でもごめん、生意気言うようだけど、私も誰でもいいわけじゃないんで・・・。」


「興味を引かれる人がいなかった?」


「うん。まぁあんまりゆっくり話す時間もなかってこともあるだろうけど・・・。」


「もちろん誰でもいいじゃないなんて、失礼なこと言うつもりはさらさらない。彩は私なんかより全然いい女なんだから、自分を安売りする必要なんてないよ。」


「そんなことないよ・・・。」


親友の言葉に、困ったような表情になる彩。


「でもそろそろ、積極的に行かないと。彩は私以外の友達ともあんまり連絡取ってないみたいだし。私だってこれからは、そうそう簡単には会いに来られなくなるんだから。家と仕事場の往復ばかりじゃ、本当に枯れちゃうぞ。」


「はい、わかりました。ご忠告、肝に銘じます。」


神妙な表情でそう答える彩。そして次の瞬間、2人は顔を見合わせると、吹き出していた。


「さ、お説教はこれまで。飲もう、彩。」


「うん。」


「ねぇ、このサラダのドレッシング、美味しいね。」


「そう?近くのスーパ-で売ってるんだ。」


「じゃ、明日買って帰ろ。」


こうして、賑やかに飲み始めた2人だが、だいぶ心地よくなってきた頃、彩が改まった表情で、遥に尋ねた。


「遥。」


「うん?」


「私ってそんなに恋愛に消極的に見える?」


「えっ?」


「実はこの間、由理佳さんにも同じようなこと言われたんだよね。『あんたは昔から恋愛に臆病だ』って。」


「由理佳さんに?」


そう聞き返しながら、遥も表情を改めた。
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