Far away ~いつまでも、君を・・・~

翌日、千夏は学校を休んだ。次の日は登校して来たものの、尚輝を露骨に避ける様子を見せ、部活にも参加しなかった。更に期末考査の結果が出て、これまで学年でも上位の位置にあった千夏の成績が、大幅にダウンしてしまったことがわかった。


「葉山さんは、先日の大会での成績不振を相当引き摺ってしまっているようだね。」


その日の朝の学年別教職員朝礼で、深刻な表情をした学年主任から、声を掛けられて


「申し訳ありません。」


尚輝は頭を下げる。


「しっかりしているようでも、まだ高校生だ。傷付き易く、脆い面を持っていて当たり前だよ。」


「はい。」


「こういう時こそ、クラス担任であり、部活顧問でもある君がしっかり、フォロ-してあげないと。」


「わかりました。」


千夏に避けられているのは間違いないが、このままでいいはずがない。学年主任の言葉に、頷いた尚輝が、千夏を面談室に呼び出したのは、その日の昼休みのことだった。俯き加減に入って来た彼女に、尚輝は柔らかな表情で、席につくように告げた。


「葉山。」


「・・・。」


「すまん。」


尚輝に謝られて、千夏は少し驚いたように顔を上げた。


「どうやら俺は知らず知らずの間に、お前を追い詰めてしまっていたようだ。」


「先生・・・。」


「県大会の好成績に、周囲が騒ぐのを、俺は快く思っていなかった。そんな甘いもんじゃない、俺はそう思っていたし、お前自身にもそう言ってきたつもりだ。」


「・・・。」


「だがいつのまにか、そんな俺自身がお前ならやれる、きっとやってくれるはずだって、そんな気持ちに流されてしまっていた。葉山にとっては、きつい状況だったよな。」


「・・・。」
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