Far away ~いつまでも、君を・・・~
⑭
故郷から戻り、息つく間もなく出勤した彩。朝礼で、上司や同僚と新年の挨拶を交わすと、自分のデスクに。
「お休みは、のんびりできましたか?」
同じく今日から出勤の隣席の先輩、藤原優里に声を掛けると
「できるわけ、ないじゃない。人の顔見れば、親どころか、親戚までもが、結婚結婚ってさ。全く気の休まる暇もなかったよ。」
朝からご機嫌斜めのご様子だ。
「30歳になって、最初の里帰りだから、まぁある程度の覚悟はしてったけどさ。それしか話題や関心がないのかって、さすがにうんざりだよ。」
「やっぱり、いずこも同じなんですね。」
「彩も言われた?」
「ええ。」
「彩が言われてるんじゃ、しょうがないけど、どうなってるんだ、どうするんだって、詰められても、こればかりはどうにもなんないし。今どき、会社でそんなこと言われれば、セクハラだって言い返せるけど、親や親戚って遠慮なく切り込んでくるし、ホント鬱陶しいよね。」
憤懣が止まらない優里の聞き役に、彩はしばらく徹しなければならなかった。
そんな余裕があるのも、この時期のウエディングプランナ-は、はっきり言って暇。まず挙式が年末年始は止まり、動き出すのはだいたい中旬を過ぎてから。その件数も年間を通しても1,2を争うほどに少ない。
打ち合わせや問い合わせも、さすがに七草くらいまでは、ほとんど入らない。本体のホテルの方は、まだまだ年始の宿泊客でごった返している時期、ブライダル部門は、いつもとは違い、まったりと時が流れて行く。
たまには、それもいいだろう、なんて思いながら、三が日が過ぎて行くと、世間も仕事始めとなり、またいろんなことが動き出していく。
「お休みは、のんびりできましたか?」
同じく今日から出勤の隣席の先輩、藤原優里に声を掛けると
「できるわけ、ないじゃない。人の顔見れば、親どころか、親戚までもが、結婚結婚ってさ。全く気の休まる暇もなかったよ。」
朝からご機嫌斜めのご様子だ。
「30歳になって、最初の里帰りだから、まぁある程度の覚悟はしてったけどさ。それしか話題や関心がないのかって、さすがにうんざりだよ。」
「やっぱり、いずこも同じなんですね。」
「彩も言われた?」
「ええ。」
「彩が言われてるんじゃ、しょうがないけど、どうなってるんだ、どうするんだって、詰められても、こればかりはどうにもなんないし。今どき、会社でそんなこと言われれば、セクハラだって言い返せるけど、親や親戚って遠慮なく切り込んでくるし、ホント鬱陶しいよね。」
憤懣が止まらない優里の聞き役に、彩はしばらく徹しなければならなかった。
そんな余裕があるのも、この時期のウエディングプランナ-は、はっきり言って暇。まず挙式が年末年始は止まり、動き出すのはだいたい中旬を過ぎてから。その件数も年間を通しても1,2を争うほどに少ない。
打ち合わせや問い合わせも、さすがに七草くらいまでは、ほとんど入らない。本体のホテルの方は、まだまだ年始の宿泊客でごった返している時期、ブライダル部門は、いつもとは違い、まったりと時が流れて行く。
たまには、それもいいだろう、なんて思いながら、三が日が過ぎて行くと、世間も仕事始めとなり、またいろんなことが動き出していく。