Far away ~いつまでも、君を・・・~
④
鬱陶しい梅雨の時期が過ぎ、期末考査も終わり、後は夏休みを待つばかりとなった。
この日は午前授業。昼食を摂り終え、弓道場に入った彩を
「主将、お疲れ様です!」
と聞き慣れた元気な声が出迎えた。由理佳たち3年生は引退し、部活に顔を出さなくなり、後任の主将に指名されたのは彩だった。
「彩しかいないよ、わかってるよね。」
そんな言い方で、自分の主将就任を由理佳から告げられたのは、インタ-ハイ予選から2日後のことだった。
「インハイ予選、悔しい思いしたよね。それをバネにして、みんなを引っ張ってって。頼んだわよ。」
「はい。」
彩はそう言って、由理佳に力強く、頷いて見せた。その彩の主将就任を誰よりも喜んだのは尚輝だった。
「やっぱりなぁ。俺も彩先輩しかいないと思ってましたよ。おめでとうございます。」
ニュ-スを聞いて、早速寄ってきた尚輝に
「おめでたいかどうかは、あんた達次第。あんた達が結果出してくれなきゃ、私1人じゃ、どうにもならないんだから。」
彩は厳しい言葉を投げつける。
「はい、任せて下さい!」
そう威勢よく答える尚輝を見て、調子のいい奴、と内心思った彩だったが、その後、尚輝が道場に常に一番乗りして、自分を出迎えてくれる姿にやや認識を改めていた。
「あんたたちも、もう基礎練習は卒業。10月の新人戦に向けて、バリバリやってもらうし、私たちは秋の県大会が次の目標。いいね。」
「はい!」
彩の言葉に、目を輝かせて答える尚輝。相変わらず、じゃれ付いて来るのは鬱陶しいし、彼のラブコールに応えるつもりは全くないが、自分が主将になったことで、尚輝の弓道に対する姿勢が、前向きになるのなら、それはそれで悪いことではない。
(私にとってはいよいよ最後の1年。悔いのないようにやらないと。)
彩は自分に気合いを入れた。
この日は午前授業。昼食を摂り終え、弓道場に入った彩を
「主将、お疲れ様です!」
と聞き慣れた元気な声が出迎えた。由理佳たち3年生は引退し、部活に顔を出さなくなり、後任の主将に指名されたのは彩だった。
「彩しかいないよ、わかってるよね。」
そんな言い方で、自分の主将就任を由理佳から告げられたのは、インタ-ハイ予選から2日後のことだった。
「インハイ予選、悔しい思いしたよね。それをバネにして、みんなを引っ張ってって。頼んだわよ。」
「はい。」
彩はそう言って、由理佳に力強く、頷いて見せた。その彩の主将就任を誰よりも喜んだのは尚輝だった。
「やっぱりなぁ。俺も彩先輩しかいないと思ってましたよ。おめでとうございます。」
ニュ-スを聞いて、早速寄ってきた尚輝に
「おめでたいかどうかは、あんた達次第。あんた達が結果出してくれなきゃ、私1人じゃ、どうにもならないんだから。」
彩は厳しい言葉を投げつける。
「はい、任せて下さい!」
そう威勢よく答える尚輝を見て、調子のいい奴、と内心思った彩だったが、その後、尚輝が道場に常に一番乗りして、自分を出迎えてくれる姿にやや認識を改めていた。
「あんたたちも、もう基礎練習は卒業。10月の新人戦に向けて、バリバリやってもらうし、私たちは秋の県大会が次の目標。いいね。」
「はい!」
彩の言葉に、目を輝かせて答える尚輝。相変わらず、じゃれ付いて来るのは鬱陶しいし、彼のラブコールに応えるつもりは全くないが、自分が主将になったことで、尚輝の弓道に対する姿勢が、前向きになるのなら、それはそれで悪いことではない。
(私にとってはいよいよ最後の1年。悔いのないようにやらないと。)
彩は自分に気合いを入れた。