Far away ~いつまでも、君を・・・~
由理佳に呼び出され


「今夜はオールで付き合ってもらうよ。」


と言われたあの日曜の夜。本当に2人は思いっきり歌い、思いっきり飲み、そして思いの丈をぶつけ合った。


「斗真に最後に1つだけ、お願いしたことがある。」


「なんですか?」


「今度の日曜、つまり今日ね、彩と話をするつもりだから、それまで彩に連絡するのは待って欲しいって。こうなった以上、たぶん彩は私ときちんと話をした後じゃなきゃ、あなたの話は聞こうとしない。あの子はそういう子だよ、あなただってそう思うでしょ?って言ったら、アイツも同意してくれたよ。」


そう言って、由理佳は微笑む。


「私の今の気持ちは、さっき伝えたよね。」


「はい。」


「ついでに・・・ってわけじゃないけど、もう1つ伝えとくよ。実は・・・私、ある人から告白されてさ。」


「えっ?」


「この3か月間、同じ目的に向かって、同じチ-ムでずっと動いてて、同じ釜の飯を食ったなぁって本当に実感できるくらいお互いに気心も知れた仲になってさ。全部が終わって打ち上げして、大騒ぎして、お互いの頑張りをたたえ合って・・・宿舎に戻ろうとしたら、4歳上のチ-ムリーダ-に呼び止められて、『プロジェクトがちゃんと終わったら、気持ちを伝えようと思った。お前が好きだ。』って。」


「由理佳さん・・・。」


「返事はしてない、保留してる。斗真から電話が掛かってきたのは、その直後。なのに、その時『私、彼氏がいますから。』って言わなかったってことは、その時点で私ももう駄目だって思ってたってことなんだよね。」


「それで、返事はどうなさるんですか?」


思わずそう尋ねた彩に


「わかんない。さすがに10年越しの彼氏と別れた直後で、そんな気にならないよって思いと、でもその人のこと、まんざらでもないって思ってるのも確かで・・・自分でもはっきりしないんだ。」


そこで由理佳は1つため息をついたが


「だから、これから彩の前で、今までのものは全部吐き出させてもらって、明日から残りの休みの間、いろいろゆっくり考えてみる。彩もそうしてくれる?」


気を取り直したようにそう言うと、彩の顔を見た。
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