Far away ~いつまでも、君を・・・~
並んでダイニングに向かいながら


「彩、今日は来てくれてありがとう。」


斗真は嬉しそうに彩を見る。


「ううん・・・会いたかったよ、斗真さん。」


「俺もだ。それにその恰好・・・。」


「えっ?」


ビジネスス-ツのままというわけにいかないから、Tシャツに短パンにエプロンという姿で恋人を出迎えた彩だが、いざ彼にその恰好を見られてることを自覚すると急に恥ずかしくなり


「ごめんなさい、自分の部屋でもないのに、こんな格好で・・・。」


とやや俯き加減で言うと


「可愛い。」


と斗真の声。えっと顔を上げた途端に抱き寄せられて、そのまま唇を奪われる。約ひと月ぶりの感触をむさぼるように味わっていると、やがて唇が離れ


「疲れが全部吹っ飛んだ。すげぇご褒美だ。」


斗真がそう言って笑うと


「お夕飯出来てるから。」


顔を赤らめ、斗真の顔が真っすぐに見られずに、彩はそう言って、そそくさと先にダイニングに入って行く。そんな恋人の後ろ姿をニヤつきながら見ていた斗真は、自分は寝室に入って、パーカ-に着替えると、ダイニングに入った。


「おっ、オムライスと豚の生姜焼きだ。」


食卓に並ぶ料理を見て、斗真の表情が思わず緩む。


「お口に合うかどうかわかりませんが、どうぞ、召し上がってください。」


「ありがとう、いただきます。」


彩の声に笑顔で応えた斗真は、箸を動かし、まずは生姜焼きをパクリ。


「うまい。」


「本当?よかった。あの・・・オムライスもよかったらどうぞ。」


「俺がオムライス大好物なの、話したっけ?」


「うん。だいぶ前・・・高校生の頃に、聞いた記憶があって・・・。」


「そっか、よく覚えててくれたな。じゃ。」


続いて、そのオムライスを一口、口に運んだ斗真は、次の瞬間、笑顔と共に、親指を彩に突き立てて見せる。


「よかった~。」


その斗真の仕種に、彩もホッとしたように笑顔を浮かべる。


「彼女の美味しい手料理に舌鼓を打つ。こんなに嬉しくて幸せなシチュエ-ションはねぇな。男に生まれてよかった。」


「斗真さん・・・。」


「彩、ありがとう。」


その恋人の言葉に、彩も幸せを感じながら。コクンと1つ頷いた。
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