Far away ~いつまでも、君を・・・~
翌日、出勤した彩は、固い表情の課長に呼び止められ、別室に連れて行かれた。促されて、座った途端
「あなた、警察の事情聴取を受けたんだって?」
と尖った声で尋ねられた。
「はい。」
「どういうことなの?」
「お付き合いしてる方が、経済事件を起こして逮捕されてしまって。それで私も事情を聞かれました。」
落ち着いて答える彩だが、一方の課長は顔色を変えた。
「そんな重大なことを、なんで私に報告しないの?」
「どうしてそのことが、課長のお耳に入ったのかわかりませんが、私は被疑者としてではなく、参考人として、任意の聴取を受けただけです。それも休日でしたから、会社にご迷惑をお掛けすることもありませんでしたので、ご報告しませんでした。」
その彩の答えに
「あなた、自分がどこに勤めてるのか、自覚がないの?」
課長は声を荒げる。彼女が言ってる意味がわからず、彩がキョトンとしていると
「ウチは冠婚葬祭を取り扱ってるのよ。そこに勤めている従業員として、身辺のスキャンダルやトラブルはご法度なことくらい、常識でしょ!」
課長はそう言って、彩を睨むように見た。
(スキャンダル・・・。)
彩が上司の発した言葉を、半ば茫然としながら、心の中で繰り返した。
「当面の間、あなたにはプランナ-業務から外れてもらうから。現在担当している挙式の打ち合わせも、他のプランナ-に引き継いでもらいます。お客様には、私の方からご連絡して、お詫びの上、プランナ-の変更をご了承していただきますから。」
そう言って、課長が立ち上がろうとしたのを見て、彩は我に返った。
「待って下さい。」
「なに?」
「これは、この処置はホテル上層部のご判断ですか?それとも課長のご判断ですか?」
「ブライダル課の責任者としての私の判断、つまりホテルとしての判断ということよ。」
そう言うと、課長は彩に視線も向けずに、部屋を出て行った。
(経済事件を起こすような男に騙されて付き合って、お人よしにもお金まで貸して、挙句の果てに警察にまで呼ばれて・・・。それがスキャンダルで、トラブルと言われちゃえば、もうどうしようもないよね・・・。)
このところ、確かにうまくいっていなかったが、事情を詳しく聞こうともせず、一方的に全てを決めつける上司の姿を見て、彩は自分の中で、何かがポッキリ折れるのを感じていた。
「あなた、警察の事情聴取を受けたんだって?」
と尖った声で尋ねられた。
「はい。」
「どういうことなの?」
「お付き合いしてる方が、経済事件を起こして逮捕されてしまって。それで私も事情を聞かれました。」
落ち着いて答える彩だが、一方の課長は顔色を変えた。
「そんな重大なことを、なんで私に報告しないの?」
「どうしてそのことが、課長のお耳に入ったのかわかりませんが、私は被疑者としてではなく、参考人として、任意の聴取を受けただけです。それも休日でしたから、会社にご迷惑をお掛けすることもありませんでしたので、ご報告しませんでした。」
その彩の答えに
「あなた、自分がどこに勤めてるのか、自覚がないの?」
課長は声を荒げる。彼女が言ってる意味がわからず、彩がキョトンとしていると
「ウチは冠婚葬祭を取り扱ってるのよ。そこに勤めている従業員として、身辺のスキャンダルやトラブルはご法度なことくらい、常識でしょ!」
課長はそう言って、彩を睨むように見た。
(スキャンダル・・・。)
彩が上司の発した言葉を、半ば茫然としながら、心の中で繰り返した。
「当面の間、あなたにはプランナ-業務から外れてもらうから。現在担当している挙式の打ち合わせも、他のプランナ-に引き継いでもらいます。お客様には、私の方からご連絡して、お詫びの上、プランナ-の変更をご了承していただきますから。」
そう言って、課長が立ち上がろうとしたのを見て、彩は我に返った。
「待って下さい。」
「なに?」
「これは、この処置はホテル上層部のご判断ですか?それとも課長のご判断ですか?」
「ブライダル課の責任者としての私の判断、つまりホテルとしての判断ということよ。」
そう言うと、課長は彩に視線も向けずに、部屋を出て行った。
(経済事件を起こすような男に騙されて付き合って、お人よしにもお金まで貸して、挙句の果てに警察にまで呼ばれて・・・。それがスキャンダルで、トラブルと言われちゃえば、もうどうしようもないよね・・・。)
このところ、確かにうまくいっていなかったが、事情を詳しく聞こうともせず、一方的に全てを決めつける上司の姿を見て、彩は自分の中で、何かがポッキリ折れるのを感じていた。