Far away ~いつまでも、君を・・・~
⑨
成人の日を翌日に控えた、3連休の中日。会場に京香と共に姿を現した尚輝は、久しぶりの緊張感と高揚感に包まれていた。
「おはよう。」
そこに先に会場に着いていた彩が、2人を見つけ、声を掛けて来る。
「おはようございます。」
尚輝は先輩に対して一礼し、京香はちょこんと無言で頭を下げる。
「いよいよですね。」
「10年、いや11年ぶりか・・・まさかあんたともう一度、一緒に試合に出る日が来るなんて、考えてみたこともなかったよ。」
「とにかく、お互い悔いのないように。」
「そうだね。」
そう言って頷き合った2人に
「尚輝、頑張って。彩さんも頑張ってください。」
京香は笑顔で声援を送る。
「おぅ。」
「ありがとう。」
2人も笑顔で答えると、会場に入って行った。
今日の試合は、なにか大きな大会の予選とかではなく、簡単に言えば初級、中級、上級の三段階に分かれたレベルを自分で選び、申し込むというスタイル。この手の大会には珍しい個人戦で、彩も尚輝も当然上級に参加する。
まずは女子の予選がスタ-ト。ほとんどの参加者が、昔取った杵柄、今は趣味で弓道を嗜むレベル。それでも上級クラス参加者は、みんな腕に覚えがある人々ばかりで、学生時代の大会とは違うが、それなりの緊張感は漂っている。
1人五射を行い、二中で予選通過。現役時代なら、恐らく難なくクリア出来た人たちばかりなのだろうが、多くの参加者が、練習はそれなりにしていても、やはり試合に臨む緊張感は別物のようで、首をひねりながら、退出する参加者が続いた。
そんな中、登場した彩は、終始落ち着いた所作で、三中させ、予選を通過。退出するさい、観覧席で見守っていた尚輝と京香に、ホッとしたような笑顔を見せた。
その笑顔に、思わず胸が躍るのを自覚した尚輝は、慌てて横の京香を振り向くと
「じゃ、俺も時間だから行って来る。」
と告げる。
「頑張って。彩さんに負けるな。」
「おう、任せとけ。」
恋人の声援に笑顔で答えると、尚輝は歩き出した。
「おはよう。」
そこに先に会場に着いていた彩が、2人を見つけ、声を掛けて来る。
「おはようございます。」
尚輝は先輩に対して一礼し、京香はちょこんと無言で頭を下げる。
「いよいよですね。」
「10年、いや11年ぶりか・・・まさかあんたともう一度、一緒に試合に出る日が来るなんて、考えてみたこともなかったよ。」
「とにかく、お互い悔いのないように。」
「そうだね。」
そう言って頷き合った2人に
「尚輝、頑張って。彩さんも頑張ってください。」
京香は笑顔で声援を送る。
「おぅ。」
「ありがとう。」
2人も笑顔で答えると、会場に入って行った。
今日の試合は、なにか大きな大会の予選とかではなく、簡単に言えば初級、中級、上級の三段階に分かれたレベルを自分で選び、申し込むというスタイル。この手の大会には珍しい個人戦で、彩も尚輝も当然上級に参加する。
まずは女子の予選がスタ-ト。ほとんどの参加者が、昔取った杵柄、今は趣味で弓道を嗜むレベル。それでも上級クラス参加者は、みんな腕に覚えがある人々ばかりで、学生時代の大会とは違うが、それなりの緊張感は漂っている。
1人五射を行い、二中で予選通過。現役時代なら、恐らく難なくクリア出来た人たちばかりなのだろうが、多くの参加者が、練習はそれなりにしていても、やはり試合に臨む緊張感は別物のようで、首をひねりながら、退出する参加者が続いた。
そんな中、登場した彩は、終始落ち着いた所作で、三中させ、予選を通過。退出するさい、観覧席で見守っていた尚輝と京香に、ホッとしたような笑顔を見せた。
その笑顔に、思わず胸が躍るのを自覚した尚輝は、慌てて横の京香を振り向くと
「じゃ、俺も時間だから行って来る。」
と告げる。
「頑張って。彩さんに負けるな。」
「おう、任せとけ。」
恋人の声援に笑顔で答えると、尚輝は歩き出した。