Far away ~いつまでも、君を・・・~
「傷付いて、ボロボロになって帰って来た彩さんの為に、あなたは本当に真剣になって走り回っていた。悔しいけど、私のことなんて、どんどん後回しになって。あなたの本心なんて、最初からわかってたのにね。それでもあなたのことが好きだったから、気が付かないフリをしてきたけど、この半年で現実を見せつけられちゃった。やっばり私は彩さんには勝てないんだって。」
違う、そう言いたいのに、そう言わなければいけないのに、尚輝はそれを口に出せずに固まる。
「尚輝が葉山さんとのことで悩んでいた時、側にいた私は何の力にもなってあげられなかった。結局、あなたと葉山さんを救ったのは彩さんだった。」
「・・・。」
「それにさ、この間、尚輝の試合を彩さんと並んで応援してて思い出しちゃったんだよね。尚輝が彩さんへの告白を掛けて、インハイ予選に臨んだときのこと。あの時、彩さんはさ、尚輝の成功を一所懸命に祈ってた。」
「えっ、彩先輩が?」
思いもよらなかったその言葉に、尚輝は驚きの声を上げる。
「それに引き換え、隠れて試合を見てた私は、あなたの失敗を念じてた。例え、それにどんな理由があるとしても・・・そんな私があなたと一緒にいる資格なんか、最初からなかったんだよ。」
そう言って、寂しそうに微笑んだ京香は
「だからもう限界。これ以上、無理をしているあなたと一緒にいるのは辛すぎる。」
改めて尚輝を見た。
「今までありがとう。だけどもう終わりにしよう、さようなら尚輝。」
そう言って、京香が寂しそうに微笑んだのが見え、尚輝はハッと我に返った。
「待ってくれ、京香。行くな、行かないでくれ。俺は本当にお前のことが・・・。」
必死に訴えようとするが
「それ以上、言わないで!」
と京香に遮られる。
「京香・・・。」
「その続きの言葉を聞かされるのは・・・残酷過ぎる。もうこれ以上、自分の気持ちに嘘をついている尚輝は見たく、ないよ・・・。」
「残酷・・・。」
その言葉に、尚輝は胸をつかれる。以前、千夏から言われた言葉を、今また京香からぶつけられてしまうとは・・・。思わず唇を噛みしめる。
「尚輝・・・元気でね、さようなら。絶対に・・・彩さんと幸せになってね。」
その言葉を言い終えた瞬間、京香の涙腺は完全に決壊した。その涙を振り払い、走り出そうとする彼女の腕を、懸命に尚輝は掴む。
「京香、待ってくれ!」
必死の形相で呼び掛ける尚輝に
「私のことが少しでも好きなら、もう止めないで。尚輝!」
潤んだ瞳で京香は訴える。その表情を見て、思わず緩んだ尚輝の手を振り払うと、京香は脱兎の如く、走り出した。
「京香!」
そう呼び掛けた尚輝の言葉に、もう京香が振り返ることも、立ち止まることもなかった。
違う、そう言いたいのに、そう言わなければいけないのに、尚輝はそれを口に出せずに固まる。
「尚輝が葉山さんとのことで悩んでいた時、側にいた私は何の力にもなってあげられなかった。結局、あなたと葉山さんを救ったのは彩さんだった。」
「・・・。」
「それにさ、この間、尚輝の試合を彩さんと並んで応援してて思い出しちゃったんだよね。尚輝が彩さんへの告白を掛けて、インハイ予選に臨んだときのこと。あの時、彩さんはさ、尚輝の成功を一所懸命に祈ってた。」
「えっ、彩先輩が?」
思いもよらなかったその言葉に、尚輝は驚きの声を上げる。
「それに引き換え、隠れて試合を見てた私は、あなたの失敗を念じてた。例え、それにどんな理由があるとしても・・・そんな私があなたと一緒にいる資格なんか、最初からなかったんだよ。」
そう言って、寂しそうに微笑んだ京香は
「だからもう限界。これ以上、無理をしているあなたと一緒にいるのは辛すぎる。」
改めて尚輝を見た。
「今までありがとう。だけどもう終わりにしよう、さようなら尚輝。」
そう言って、京香が寂しそうに微笑んだのが見え、尚輝はハッと我に返った。
「待ってくれ、京香。行くな、行かないでくれ。俺は本当にお前のことが・・・。」
必死に訴えようとするが
「それ以上、言わないで!」
と京香に遮られる。
「京香・・・。」
「その続きの言葉を聞かされるのは・・・残酷過ぎる。もうこれ以上、自分の気持ちに嘘をついている尚輝は見たく、ないよ・・・。」
「残酷・・・。」
その言葉に、尚輝は胸をつかれる。以前、千夏から言われた言葉を、今また京香からぶつけられてしまうとは・・・。思わず唇を噛みしめる。
「尚輝・・・元気でね、さようなら。絶対に・・・彩さんと幸せになってね。」
その言葉を言い終えた瞬間、京香の涙腺は完全に決壊した。その涙を振り払い、走り出そうとする彼女の腕を、懸命に尚輝は掴む。
「京香、待ってくれ!」
必死の形相で呼び掛ける尚輝に
「私のことが少しでも好きなら、もう止めないで。尚輝!」
潤んだ瞳で京香は訴える。その表情を見て、思わず緩んだ尚輝の手を振り払うと、京香は脱兎の如く、走り出した。
「京香!」
そう呼び掛けた尚輝の言葉に、もう京香が振り返ることも、立ち止まることもなかった。