Far away ~いつまでも、君を・・・~
OB会が終わると、練習再開。そして程なく新学期開始。


「みんな、結構焼けてるねぇ。」


と久しぶりに会うクラスメイトたちに、遥が驚きの声を上げる。


「もう来年の夏休みは受験モード一色だからね、きっと。羽を伸ばすなら今年ってみんな思ってるんだよ。」


「なるほどね、それに引き換え、屋内スポーツの私達は・・・。」


「私たちには、私たちの青春がある。さ、行くよ。」


親友の嘆き節を聞き流し、彩は鞄を手に立ち上がる。始業式の今日も、弓道部は練習である。


来月に入ると早々に新人戦、その翌週には県大会と試合予定は目白押し。更にそのひと月後の県予選を突破できれば、夏のインタ-ハイに次ぐ目標である全国選抜大会が、年末に待っている。


(まずは県大会。ここで戦えれば、全国選抜は決して夢じゃない。)


彩がそう気合が入れて、弓道場に向かうと


「オッス。」


同じように気合が入っている人物が、いつものように待ち構えている。


「二階くん、今日も一番乗りだね。」


「はい。」


遥にそう声を掛けられて、元気よく返事をした尚輝は、すぐに中断した準備運動代わりの素引きを再開する。


「なんだかんだ言って、今や彼が1年生の中で一番熱心だし、一番上達が早いじゃない。」


「・・・。」


「彩もそれは素直に認めてあげたら。」


そう笑顔で言って来た遥に


「わ、わかってる。」


彩はなぜか少し口を尖らせながら答えた。
< 34 / 353 >

この作品をシェア

pagetop