Far away ~いつまでも、君を・・・~
「プロジェクトが終わったら、気持ちを伝えようと思ってた。お前が・・・好きだ。」


清水さんにそう言ってもらってから、やはり半年以上が過ぎた。あるプロジェクトチ-ムのメンバ-として約3ヶ月ほど、一緒に全国を飛び回り、彼はチ-ムをリーダ-としてけん引し、プロジェクトを無事成功に導いた。そしてその打ち上げの席が終わった後、私は告白された。


清水さんに、自分が好意以上のものを抱いていることは自覚していた。でもその時点では、私と斗真は切れてはいなかった。


「しばらく距離を置こう。」


私がプロジェクトでしばらく地方滞在が続くこともあって、そう2人で話した・・・つもりだった、少なくても私は。だけど、斗真はそうは思ってなかったようで、その間にあいつは、後輩の彩に告白していた。


3ヶ月ぶりのあいつからの電話で、そのことを知った私は少なからぬショックを受けた。でも、その一方で


(もう終わりなんだな・・・。)


と冷静に現実を受け止める自分もいた。そして、電話ではあったけど、お互いに胸の内を、私たちはぶつけ合った。知り合って、付き合って12年。干支が一回りするほどの長い時間を一緒に過ごした私たちだけど、もはやその心がお互いにないことを、はっきりと確認した。


『由理佳・・・今までありがとう。』


「私の方こそ・・・斗真に感謝にしてる。本当にありがとう・・・。」


最後にそう言葉を交わして、私たちは電話を切った。


「さようなら、斗真。」


そう呟いた私の目からは、やっぱり涙があふれて来ていた。


戻った私は彩に連絡を取って、会った。当然のように戸惑い、私に遠慮を見せる彩に、斗真とはキチンと話して、お互いに納得して別れたことを告げ


「私には無理だったけど、彩なら斗真を立ち直らせるというか・・・元の斗真に戻してあげられるかもしれない。彩、斗真のことをよろしくね。」


なんて言ってしまった・・・。


私の恋は終わった。次に考えなきゃならないのは、別の恋に進むのかどうかだった。心は千々に乱れたが、結局


「申し訳ありません。今はまだ心の整理が付きません。彼が忘れられないんじゃなくて、恋愛はしばらくお休みしたいんです。ごめんなさい。」


と清水さんに返事をして、頭を下げたのは、それからひと月近く経ってしまった頃だった。


「わかった。残念だが、仕方ないな。」


そう言ってくれた清水さんに、私は申し訳ない思いでいっぱいだった。
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