Far away ~いつまでも、君を・・・~
週末、私は清水さんに誘われ、街に出た。清水さんからの告白に首を振ったくせに、私はその後、彼と何度か、休日を一緒に過ごしている。


この日、待ち合わせた私たちが向かったのは映画館。動物園や水族館にも行ったし、ドライブに連れてってもらったこともあるけど、2人で会って、私たちがすることは、圧倒的に映画鑑賞だ。共通の趣味である映画を一緒に見て、その後、食事やお茶をしながら、映画の感想を語り合う。



正直言って、それはすごく楽しい時間。時が経つのを忘れるくらいだ。だけどそれはあくまで、私視点。2人が会う時には暗黙のルールがある。


・かかった費用は全て割り勘。
・アルコ-ルはNG(酔った勢いで・・・というのを防ぐ)。
・日付をまたいで、一緒にはいない。


ちなみに私は今年28になる、清水さんは4つ年上。


「お友達カップルです。」


なんて言ってる年齢じゃないのはわかってる。


「えっ、2人は付き合ってないんですか?」


そんな私たちを見て、同僚たちからは、当然驚かれる。


「そうだ、俺たちは友だち。宮田は恋愛は、しばらくお休みだそうだから。」


清水さんがそんな答えをしているのを聞けば、さすがに私は申し訳なくなる。なんで私が恋愛を休みたいと思っているか、理由も話してある。それでも清水さんは私を誘ってくれる。


「俺たちは2人で映画鑑賞サークルを作ったようなもんだな。」


清水さんはそう言った後


「でも1度口説いてるんだから、その先を目指す下心がないなんて言うつもりはない。ただ今のところは、お前とこうして映画を見て、語り合う時間が単純に楽しいからな。お前がその気になってくれるのが先か、それとも俺が諦めて、他を当たろうと思うか、しびれをきらせて、襲い掛かるのが先か。まぁ気長にやらせてもらうつもりだから。」


と笑う。そんな清水さんの言葉に甘えてしまっている。清水さんとの時間は苦痛ではない。はっきり言えば、今の私にとって、大切な時間だ。だから拒めない、拒みたくもない。だけど・・・いつまでもこのままでいいはずがない。


「清水さんをキープくんにするなんて、あんたいい度胸してるわね。」


ある同僚に凄まれたことがある。そう、清水さんはモテる。狙っている女子社員は片手・・・ううん両手に余る。その人たちからすれば


「あんた、何様のつもり?」


と言いたくもなるだろう。
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