Far away ~いつまでも、君を・・・~
そのままどこにも寄り道せずに帰宅した私を追いかけるように、伊藤さんから電話が来た。
『まさか、君が来てるとは・・・びっくりしたよ。』
という第一声の後、伊藤さんが言うには、斗真は相変わらず弁護士以外との面会も拒み、裁判の傍聴もしないように周囲に伝えていたらしい。しかし、既に縁が切れている私には、それが伝わることがなく、ノコノコ現れた私に、斗真は正直困惑したらしい。
これ以降の傍聴は、出来れば遠慮してくれないかという伊藤さんに
「はっきり言って斗真は卑怯だと思います。面会も裁判の傍聴も拒むなんて、なんでそんなに逃げ回るんですか?本当に自分のしたことの罪の重さを感じているのか、本当に反省してるのか疑わしいです。私はもうあいつの彼女でもなんでもありません。でもこの裁判に興味を持つ人間として、これからも傍聴は続けさせてもらいます。それを拒まれる筋合いはどこにもありませんから、先輩から斗真にそう伝えて下さい。」
やや憤然としながらそう言うと、伊藤さんには失礼だったけど、一方的に電話を切った。
(私はご両親や彩のように優しくないからね、斗真。)
有言実行、それから私は彼の審理の度に、有休を取り、足を運んだ。
そして判決、懲役1年の実刑判決だった。実刑は重くない?素人ながらそれなりの勉強もして、ある程度の知識を得た私は率直にそう思ったし、伊藤さんもそう感じたみたいで
「控訴することになるだろうな。」
と私に伝えて来た。だけど、一緒に起訴された人たちの判決も続々と出て、みな控訴の意思を示す中、1人斗真だけは
「伊藤、もういいよ。俺は納得してる。他の連中がどうするかは関係ない。俺は控訴はしない。それで動いてくれ。」
とはっきりと伊藤さんに告げた。
「いいのか、本当に?」
「ああ。両親にも話したが、お前がそれでいいならと言ってくれた。よろしく頼む。」
「わかった。」
斗真の決意に満ちた表情に、伊藤さんは頷いた。
「あと・・・刑が確定したら、みんなに会いたい。まず彩に、次に瀬戸やいろいろ心配してくれた連中に。そして・・・由理佳にも。」
「由理佳ちゃんにもか?」
驚いて聞き返した伊藤さんに
「ああ、アイツに断られなければ。」
斗真はそう答えた。
「じゃ、順番にみんなに連絡取ってみるよ。」
真剣なまなざしの斗真に、伊藤さんは笑顔で頷いた。
『まさか、君が来てるとは・・・びっくりしたよ。』
という第一声の後、伊藤さんが言うには、斗真は相変わらず弁護士以外との面会も拒み、裁判の傍聴もしないように周囲に伝えていたらしい。しかし、既に縁が切れている私には、それが伝わることがなく、ノコノコ現れた私に、斗真は正直困惑したらしい。
これ以降の傍聴は、出来れば遠慮してくれないかという伊藤さんに
「はっきり言って斗真は卑怯だと思います。面会も裁判の傍聴も拒むなんて、なんでそんなに逃げ回るんですか?本当に自分のしたことの罪の重さを感じているのか、本当に反省してるのか疑わしいです。私はもうあいつの彼女でもなんでもありません。でもこの裁判に興味を持つ人間として、これからも傍聴は続けさせてもらいます。それを拒まれる筋合いはどこにもありませんから、先輩から斗真にそう伝えて下さい。」
やや憤然としながらそう言うと、伊藤さんには失礼だったけど、一方的に電話を切った。
(私はご両親や彩のように優しくないからね、斗真。)
有言実行、それから私は彼の審理の度に、有休を取り、足を運んだ。
そして判決、懲役1年の実刑判決だった。実刑は重くない?素人ながらそれなりの勉強もして、ある程度の知識を得た私は率直にそう思ったし、伊藤さんもそう感じたみたいで
「控訴することになるだろうな。」
と私に伝えて来た。だけど、一緒に起訴された人たちの判決も続々と出て、みな控訴の意思を示す中、1人斗真だけは
「伊藤、もういいよ。俺は納得してる。他の連中がどうするかは関係ない。俺は控訴はしない。それで動いてくれ。」
とはっきりと伊藤さんに告げた。
「いいのか、本当に?」
「ああ。両親にも話したが、お前がそれでいいならと言ってくれた。よろしく頼む。」
「わかった。」
斗真の決意に満ちた表情に、伊藤さんは頷いた。
「あと・・・刑が確定したら、みんなに会いたい。まず彩に、次に瀬戸やいろいろ心配してくれた連中に。そして・・・由理佳にも。」
「由理佳ちゃんにもか?」
驚いて聞き返した伊藤さんに
「ああ、アイツに断られなければ。」
斗真はそう答えた。
「じゃ、順番にみんなに連絡取ってみるよ。」
真剣なまなざしの斗真に、伊藤さんは笑顔で頷いた。