Far away ~いつまでも、君を・・・~
「まずはお勤めをキチンと果たして・・・でも出所しても彩は待っててくれないんでしょ?どうするの?」


「どこかみんなの知らないところで、ひっそりと真面目に生きて行く。」


「斗真・・・。」


その答えに失望すると


「って言ったら、廣瀬に怒られた。」


斗真は苦笑いで続けた。


「罪を償ったら、胸を張って故郷に戻って来いって、ハッパを掛けられた。そしてまずはみんなで弓道をやろうって。こんな時にも弓道が出て来るのかって・・・。」


「彩らしいね。」


「ああ。」


「それで、斗真はなんて答えたの?」


「みんなの前にちゃんと顔を出せるように頑張る、そう約束した。」


その答えを口にした斗真は、もう私から視線を逸らすことはなかった。


「わかった。」


その答えと態度を見て、私は席を立った。


「由理佳・・・。」


「斗真、今の答え、絶対に忘れないでよ。」


そう言い残すと、あっけにとられる斗真と職員を残して、部屋を出た。
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